Akastuki

□サソリの悩み
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『サソリの悩み』


BARサソリ座の女、いつものように開店中。


しかし、そんなBARでもいつもと違うところがひとつあった。


イ「あの…店長、なんでそんな機嫌悪いんですか?」


心配そうなイタチの視線の先には、
イライラしてなんとなく落ち着かないBARのマスターことサソリ。


デ「中坊に間違えられたんだそうです。な、旦那。」

蠍「旦那じゃないマスターだ。」


そうキッと反論するが、その仕草が余計に中坊に見えたのか、爆笑しだす16歳2人。


蠍「…何がおかしい。」

ナ「だって…
なんで35なのに中坊に間違えられんだってばよ…ブッ」

サ「最低でも20年間の差があるぞ?…プッ」

ナ「20年じゃ…あれじゃね?子ども産めるよ。」

サ「ギネスブック更新だな(笑)」

蠍「いや、おかしーだろ。
なんだよギネスブックって。のらねーし、そんな年齢差なんて競う必要もねーし。
あと、子ども産めるとか、無理だから、俺男だし。」

イ「でも、何でそんな大胆な間違えられ方したんだ?
学生の町にでも飛び出してったのか?」

デ「渋谷とか原宿とか池袋とか…」

蠍「原宿に行って参りました。」

ナ「何故謙譲語。」

イ「あ〜、原宿か〜。
だめじゃないか1人で行ったりしたら。危ないだろ?」

蠍「お母さんですかアンタは。」

サ「んで原宿でなに?
巷の怖いお兄ちゃんたちに『おい、どけよ中坊』とか言われて睨まれたのか?」

蠍「そんな柔な奴だったら今ごろイライラなんかしてねーぞ?俺は。」

ナ「じゃあ何があったんだってばよ。」

蠍「あのな、この店内に飾れるなんかいい小物ねーかなぁって、例の竹下通りほっつき歩いてたわけだよ。
そしたらさ、三人組のイケイケギャルたちに『ねぇそこの人』って声かけられて、『何!?逆ナン!?』って思いながらウキウキ気分で彼女たちがこっち来いっつーからついてったんだよ。」

デ「バカだろアンタ。」

蠍「アンタじゃないマスターだ。
…それで、ついてったら連れてこられたのがどっかの路地裏でさ、
おっ、なんかヤバいかもって思って逃げようとしたんだけどな、
既に時遅しって感じで。俺、イケイケギャルたちに胸ぐら捕まれて『金よこせよ』って言われてさ。」

サ「…うける(笑)」

蠍「何でだよ。」

イ「金は…あげちゃったのか?」

蠍「ああ。超怖かったから仕方なく…。」

デ「だめじゃん。」

蠍「それで、財布出したらそれごとひったくられて。
ああ、これがオヤジ狩りって奴か…原宿怖ぇーって思ってたらさ、
イケイケギャルの1人が、俺の財布の中見ながら、
『中坊のくせに持ってんなぁ、金。』って呟きやがって。」

ナ「あー…。」

蠍「もう…そりゃ誰だって腹立つだろう!?
財布の中見ながら中坊なんて言われてさ。
わかるか?この俺の気持ち!!」

サ「悪いな。俺は大人びてるねとしか言われたことないから。」

デ「自分まだ19なんで、うん。」

蠍「薄情な奴らだ…。」





‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

中坊に間違えられるのは、自らの身体をくぐつに変えてしまったからだよきっと。イコール自業自得さ。

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