TAKA★
□自転車
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─署。───
「ただいま戻りました。
自転車盗難事件の犯人らしき人もつれて。」
「ごくろーさん。」
ハゲは俺を連れて、そいつの上司らしきヒゲオヤジにビシッと敬礼をした。
「あのー、それの事件の被害者男性が今ちょうどうちに来てるから、そいつと会わせてやって。
あと、自転車持ってきた?」
ヒゲオヤジは多分一生懸命手入れしてるのであろう自分のヒゲを指でなでながらハゲにえらそーに言った。
「もちろんでございます!!」
威勢良く返事するハゲ。
「じゃ、そーいうことだから、よろしく。」
そう言って俺らの前から去っていくヒゲオヤジ。
ハゲは「だって。」と俺の方を向いて言ってきた。
俺は何となくコクリとうなずく。
…自転車盗難ぐらいでこんなに大騒ぎしやがって。
おかげで俺の人生、だいなしになりそーだぞ?
どーつけてくれんだよ、この落とし前。
その被害者男性って奴に会ったら即、顔面にパンチくれてやる。
俺のパンチは痛いんだぞ?
そんな事をぶつぶつ心の中で呟いていると、
ある部屋に案内された。
「部下たちよ、自転車!!」
部屋に入るなり部下にそう言うハゲ。
「OKでございます!!」
だから返事おかしいだろ。
フツー「はい。」じゃね?
「あのー、あなたの自転車、
これであってますか?」
ハゲはいきなり口調をかえ、被害者男性に問いかけた。
今まで後ろを向いていたその被害者は、ハゲの問いかけに前を向いて自転車を確認しようとした。
…!?
「アンタ…」
「違います。これは俺の自転車ではありません、しかし…」
「…しかし?」
「彼は俺の自転車というか弟です。」
…そう。
自転車をのこのこと誰かに盗られたマヌケな被害者男性は
うちはイタチこと、
俺の実の兄であった。
…何だろうこの、
やり場のない怒りは。
「悪いなサスケ。
まさかサスケが捕まってくるとは…」
悪いなとか言って、
顔笑ってんじゃねーかよおい。
「ホントにごめんな?
まさかサスケが捕まってくるなんて…プッ」
「殺す。」
俺は笑いを必死で堪えようとしているイタチの顔面に、
人生でもっとも力強いパンチを喰らわしてやった。
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