The Union 忍

□identity
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「なぁー、見せろよ〜。」



どこまでもガキんちょなコイツは、どうにかしてでも見ようと俺の答案用紙を引っ張って来る。


「ちょっ…やめろよクソヤロウ!!!」

「別にいいじゃん!!
なんで頑なに見せるの拒んでんだってばよ!!
意味わかんねーよ!!」


意味わかんねーのはそっちの方だろ!?

「デリカシーのないやつめ!!!」

俺の長年の努力を壊そうとすんな!!



「…こんなにも見せるの嫌ってことは、
やっぱお前、満点じゃねーんだな?」


30秒くらいナルトと答案用紙を引っ張り合った後、

奴は腹黒さ丸見えの目つきをしながら俺にそう言ってきた。


「な…なんでそんな理解不能な答えにたどりつく。」


理解不能じゃねーよ。


ウスラトンカチが正解だよ。


「あ、今サスケの目、泳いだぞ?
…って事はやっぱり…?」

「泳いでねぇ!!!
やっぱりってなんだよ!!やっぱりじゃなくとも俺は満点だよ!!」

「じゃー見せろよ。」

「無理だ。」

「なんで。」

「理由を聞くな。」

「満点じゃねーの言いたくないから?」

「違う。」

「じゃ、なに。」

「だからなにとか聞くな!!」


しばらく同じような会話をエンドレスで続ける。


続けていたら不意打ちでぱっと後ろから答案用紙を取られた。



「な゙っ!!!??」



取った犯人は犬塚キバ。



「おっ!!キバナイスだってばよ!!」

「返せよ!!」


そう言って取り返そうとするが、時すでに遅し。


「なんだサスケ、満点じゃねーんじゃん。」

「なんだよ見栄張ってんじゃねーよ。」


口々にそう言う彼ら。



ああ…そんなクラス全体に聞こえるような声で言わないでくれ…。


俺の長年築き上げてきた定義が…。


サスケは頭が良いという俺のアイデンティティが…。



「…あの…単語テストあるなんて知らなかったんだよ俺は。
だからそれノーベンで受けたんだよ。」


苦しくとも言い訳。



言い訳というか、ホントのことだ。



「だから点数悪いのはフツーのことで…」

「え!!?これノーベンなのかお前!!」


俺が言い訳を続けていると
突然ナルトとキバが騒ぎ出した。


「?…ああノーベンだよ。
だから点数悪いからあんま見ないでくれよ!!!」

「なんで!?
なんでノーベンでここまでとれんだってばよ!?」


は?何、目皿にしてんのウスラトンカチの奴。


そんなに良い点数でもねーだろうに。



「おまっ…なんでノーベンで…

84点なんてもんとれんだよ!!」


クラス中がざわつく。



「ナルトの言う通りだぜ。
ノーベンで84は絶対おかしい。

…カンニングしただろ?」

キバにそう言われる。


「してねーよ。」


できるかぁッ
そんな行為!!



「うわぁサスケくんて、やっぱ頭いいよね〜

「あたしノーベンで受けたらそれこそ0点だよ。」

「フツーそうでしょ。」



2人にカンニング疑惑を抱かれていると、
遠くの方で女子がそうキャーキャー騒いでる声が聞こえた。









…ん?



ノーベンだと0点がフツー?










「ったく、このカンニング野郎!!!
なんでそんなに勉強できんだってばよ!!!」


女子の会話に耳を傾けているとナルトにいきなり腹パンされた。


「ぐほぇっ」


結構本気でパンチされて痛かったから床に膝をつく俺。


俺が膝をつけたと同時にナルトとキバは俺の答案用紙を放り投げ、俺の前から立ち去った。



俺は床にはらりと落ちてきた答案用紙を見ながら思う。




…ああ、俺やっぱ頭良いのな。




どうやら俺のアイデンティティは、


まだ崩れないらしい。









‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ちょっとうざいサスケでした。

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