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□2010 10/10-12/27
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『サソリ座の女。Egoist』
(ナルトBーday!!)




「ナルト、ハッピーバースデイ!!」


夜7時、
BARサソリ座の女にはあのいつものメンツが集っている。


今日は10月10日。

ナルトの誕生日だ。


イ「いや〜、おめでと。」

サ「これで、晴れてお前も16歳か…。
16ね…俺にもあったな、そんな時期。」

ナ「そんな時期って、サスケも現在進行形で経験中だろ。」

デ「16か…結婚できるな、うん。」

イ「ああ、そうか。
…彼女とかいないのか?今すぐ俺が婚姻届持ってきてやってもいいぞ?」

ナ「いや、遠慮しとくってばよ。
それに16で結婚できるのは女子だから。俺、女子じゃないし、バリバリの男だし。」

イ「日本の法律は難しいな。」

サ「あ、それ同感だ兄さん。」

デ「生存権とかやったよな、うん。」

イ「全部覚えろって先生に言われて素直に覚えたな俺。
今でも言えるぞ?日本国憲法第25条生存権。」

サ「やめろよ気持ち悪い。」


そこに、厨房から何やら箱を大事そうに持ってサソリ登場。


蠍「誰が気持ち悪いって?
悪かったな全身作り物で。」

サ「おめーの事じゃねーよ。自意識過剰だ。」

蠍「言っとくが、あんたの方がキモいんだからな?」

サ「根拠は?」

蠍「…。」

サ「ねーのかよ。」

ナ「っつーかそれ何?」

蠍「は?何言ってんのお前。見りゃあわかんだろ。」

ナ「見りゃあ分かるって…箱しか俺の目には映ってねーんだけど。」

蠍「黙れ主役。屁理屈言うなよ。」

デ「旦那…今日は何でそんな機嫌悪いんだよ、うん。」

蠍「旦那じゃないマスターだ!!何回言えば分かるんだお前!!」

デ「分かったからマスター!!
何でそんな機嫌悪いんですかッ?」

蠍「だって、俺主役じゃないんだもん。」

サ「史上最強のわがままここに現る。」

イ「わがままって言うか…精神年齢低いだけだな。」

蠍「うるさい黙れ!!聞こえてんぞ!!」

ナ「なーッ!!それ、その箱、リアルに何!!?」

蠍「フツーに考えてわかんだろ。
ケーキだ。」

デ「フツーすぎるだろ。」

サ「もうちょっとサプライズ的なことしねーの?」

イ「これでも客だぞ?サービスしてやらなきゃだめだろーが。」

蠍「うるさいぞうちは一家!!
これでもサービスなんだよ!!俺の手作りケーキ無料で差し上げるなんて立派なサービスだろ!!」

ナ「…しょっぱくねーよな?ちゃんと甘い味するよな?」

サ「あ、この前の綱手おばちゃん事件ね。あのケーキ、俺食ってねーけどトラウマだよなんとなく。」

イ「食べたらしょっぱかったって、ケーキによる俺たちへの最大の裏切りだよな。」

蠍「黙れようちは一家!!いちいちうるせーよ!!」

イ「フッ…チビが。」

蠍「お前…それ遠まわしに私を殺して下さいって言ってる?
大丈夫だ安心しろ。必ず殺してやっから。」

ナ「あの…店長、この箱、とっても良いですか?」

蠍「勝手にしろ。」

ナ「…つめてーなぁ。俺せっかくの誕生日なのにアイツのせいで気分がた落ちだってばよ。」ボソッ

デ「よしよし。旦那だからしょーがない、うん。」ボソッ

蠍「ボソボソ何話してんだよ。」

ナ「いや、なんでもねー。
(箱を開けて)…うわっ、すっげ!!」

サ「どれどれ見して?…うわー…。」

イ「器用だなお前。」

デ「芸術だ…。これで爆発すればもっと素晴らしいアートになるぞ旦那。」

蠍「旦那じゃないマスターだ。
つーか、これ爆発なんてしたら生クリームあっちこっちに飛ぶぞ?」

デ「それも芸術だ、うん。」

蠍「意味わかんねーよ。」

ナ「なぁ、ロウソクが6本しか入ってねーんだけど。
俺6歳じゃねーんだけど。」

蠍「ああ、それ、もともと60本用意してたんだけど、あの巨乳女で54本使っちゃったから。」

サ「残りってわけか。」

蠍「そう。」

ナ「買いに行こうよそこは。」

蠍「めんどくさ。別にいいだろロウソクの数なんて。」

ナ「ガサツだなぁ…。」

蠍「うるせーな。どこまでわがままなんだよコイツ。
自分誕生日だからって調子乗んなよ?」

ナ「客に向かってなんなんだってばよその態度。腹立つわー…。」

蠍「勝手に立ってろ。」

イ「まぁまぁまぁ、サソリ君、あとでお兄ちゃんが遊んであげるから。
だから機嫌くずさないで?」

蠍「あんたが一番ムカつくんだよ。」

イ「ムカつくって言われたーッ」

サ「いや、俺に言うなよ。」

蠍「どうする、切るか?」

イ「え!!?ごめんなさい!!」

蠍「は?何お前。
切るってケーキのことな。あんたじゃない。」

サ「チッ、なんだよケーキかよ。」

イ「サスケ、今なんで舌打ちを…?」

ナ「あのさ…切るって、俺まだロウソクに火つけてふーってやってねーし、そもそもまだ一本も差してねーんだけど。」

蠍「んだよ早くしろよ。」

ナ「…綱手のばーちゃんの時はあんなに手ぇ込んでたのに、なにこの差。」

蠍「差って、別に男のために手ぇこます必要ないだろ。それに俺、男に興味なんてないし。」

ナ「誰も興味持てなんて言ってねぇ。」

蠍「もうどーでもいいから早くしろ。
あ、そこの黒髪チビ。マッチ擦るのよろしく。」

サ「え〜?店長がやれよそこは。
つーかチビって何だチビって。殺すぞお前。」

蠍「俺は切断係だから。放火係じゃないから。」

サ「言い方。なんだよ放火って。家に火放つみたいじゃねーか。」

蠍「なんならお前の家に火放ってもいいんだぞ?」

イ「や、やめてくださいよそれは。」

ナ「させました。
サスケ、マッチよろしく。」

サ「あーもー何で俺が。」


サスケ、ブーブー文句を言いながらもマッチを擦るが、なかなか火がつかない。


サ「つ…つかねぇ。」

ナ「えー…。」

イ「あれじぁあないか?湿気ちゃってるとか。」

デ「旦那、これどこに保管してた?うん。」

蠍「風呂場。」

イ「バカだろお前。究極のバカだろ。」

ナ「ここに、湿気が多いところで保存しないで下さいって書いてあんだろーが!!」

サ「風呂場って、家の中で最も湿気が多いところだよな。」

デ「35年も生きてて、アンタは何を学んできたんだ、うん。」

蠍「アンタじゃないマスターだ。」

ナ「じゃあもういいってばよ。誕生日定番のふーはあきらめる。
切断係り…よろしく。」

蠍「…イタチ。」

イ「はい。」

蠍「この包丁の切れ味を確かめたい。腕を出せ。」

イ「あなたは何がしたいんですか。
殺す気ですか、俺を。」

蠍「何を今更。
さっき必ず殺してやるって言ったろ?」

イ「ハハッ。ジョークだと思いましたよ店長〜。
でもちょっと待ってください?俺が殺されたら、悲しむ奴がたくさんいる。
あなたは多くの人々を泣かせる気ですか?」

蠍「…それは…。」

サ「大丈夫だ。誰も泣くわけねーから。」

イ「え!!?サスケ!?」

蠍「だよな。」

イ「ちょ…Wait!!wait,wait,wait!!!」

ナ「あーもーうるせーなぁ。
ケーキ切るなら切る、イタチ殺すなら殺す、びしっとしろよ。」

サ「俺的には後者の方がいいんだが。」

イ「いいや、サスケに発言権はないからな。
前者だ!!前者を先にやれ!!」

デ「どっちでもいー…、うん。」

イ「どっちでもいいって、罪の重さが全くもって違うだろ!!
俺の血がついた包丁でケーキなんか切っていいのか!?」

デ「別にいいし。オイラがケーキ食うわけじゃないんで。うん。」

ナ「血でケーキがピンクになるのは嫌だってばよさすがに。」

イ「だろう!?やっぱ主人公は考えることが違うな!!俺は感動した。」

サ「お前ちょっと黙ってろよ。
うるせーんだよさっきから。」

蠍「やっぱ殺しとくか?」

サ「そーした方が良さそうだ。」

蠍「じゃあ、ちょっと殺してくるわ。
あ、そこに新しいナイフ用意しといたから、ケーキ切るならそれで切っといてくれ。
…さ、イタチ。表へ出ろ。」

イ「…俺に刃先を向けてそんな事言わないで?
全身が今、震えています。」

蠍「くだらんナレーションはいいから。ほら、さっさと表へ出ろ。」

イ「…はい。」


しぶしぶ席を立つイタチ。
そのままサソリに脅されつつ店の外へ。

店内には残された3人。


デ「なんか…静かになった?うん。」

サ「気のせいだろ。」

ナ「2人とも、ケーキ食う?さすがに俺一人でホールを食べきるのは不可能だってばよ。」

サ「ごめん、俺甘いのあんまり好きじゃない。」

ナ「そっか。」

デ「じゃあ、オイラ食っていいんなら食う。」

ナ「おっけー。
…切んのめんどくせーから、これ、このまま2人でつつこうぜ?」

デ「同じ釜の飯を食う仲ってヤツか。」

サ「正確に言えば同じケーキをつつく仲な。」

ナ「俺とデイダラって、なんかビミョーな組み合わせ。」

デ「ビミョーすぎるだろ、うん。」

ナ「あ、フォークがねぇ。」

サ「はい、ここにあるよ。」

ナ「サンキュー。」

デ「じゃ、サソリの旦那の芸術作品…食うか。」

ナ「おう…。」


が、なぜかしばしの沈黙。


サ「何で食べないんだよ。」

ナ「食べたら死にそう…。」

デ「分かるぜ、うん。」

ナ「もー…俺誕生日なのになんでこんな思いしなきゃなんねーんだってばよ。」

デ「うちの旦那がすまないなホントに。後で叱っとく。」

ナ「うん、お願いするってば。」

デ「じゃ、食うか。」

ナ「勇気を振り絞って…行くぞ!!」


ナルト、恐る恐るフォークですくったケーキを口に運ぶ。


サ「…どう?」

ナ「…苦ッ」

デ「まじかよ。」

ナ「あれ、ちょっと待って?…ん?すっぱい?ビミョーな酸味がある。」

サ「は?どゆこと?」

デ「え、じゃあオイラも。」

サ「俺も試しに。…ちなみに甘味とかはねーの?」

ナ「うん、まったく。苦すっぱい。」

デ「嫌だその味。」

サ「せーので食おうぜ?」

デ「…わかった。」

2人「「せーのッ」」


と、2人が口に運ぶ寸前、外にでていたサソリが慌てて帰ってくる。


蠍「ちょっと待って!!そのケーキちょっと待って!!」

デ「?どうしたんだよ旦那、うん。」

蠍「旦那じゃないマスターだって、そんな事よりそのケーキ、待って!!」

サ「は?何で。」

蠍「俺…もしかしたら砂糖と重曹間違えたかもしれない。」

ナ「え…。」

蠍「ちょいまち、今確認する…。
(厨房に入っていき)…あッ、重曹の量減ってる!!
やっぱ間違えた!!」

ナ「おい…。」

蠍「うわー…最悪だわ…。お詫びになんか飲み物おごるから許してくれ。
(冷蔵庫を開け)…アレ?この牛乳、消費期限かな〜りすぎてる…?ん?もしかして…。」

サ「それ使っちゃった?ケーキに?」

蠍「かもしれないな。…絶対食うなよそれ、腹こわすかも。」

デ「うおΣあぶねー…。」

ナ「…。」

蠍「うわー、ホントに悪いな。ま、そのケーキは観賞用って事で良いだろ。それより飲み物何がいい?」

サ「…フフッ。ドンマイ、ウスラトンカチ。」

蠍「何、どうした?金髪チビ。」

ナ「ハハ…アハハハハ…アハハハハハハッ(泣)」

蠍「え!?何だよ、マジでどうしたんだよ!!」

デ「旦那…彼、試食済みだ、うん。」

蠍「…。」

ナ「アハハハハ…俺ちょっとトイレ行ってくるー
誰も入ってくんじゃねーぞっ?
Leave me alone!!私を一人にしておいて?」


そう不気味なハートをたくさん撒き散らし、トイレへと駆け込んでいく今日の主役。

店長唖然。


蠍「俺、これからどうしよう…。」

サ「ケーサツ行って、自首してこい。
腐った牛乳と重曹使ったケーキ客に食わせましたごめんなさいって。」





‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

サスケ、イタチ殺人事件のことに関してはスルー。
この後、ナルトは2日間トイレに閉じこもったらしい。

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