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『WiiSports』





ーーーデイダラ宅。


人様の家でWiisportsをやって激しく暴れているのは、デイダラの相棒ことサソリ。


彼はそぉぉら!!!と叫びながらボクシングに励んでいる。


デ「旦那…うるさい。近所迷惑だから叫ぶなよ、うん。」

蠍「黙れ!!
今いいとこなんだよ!!話しかけんな!!」

デ「いや、でもだな…」

蠍「死ねぇ!!」


そうサソリはよりいっそう声を張り上げ、テレビの向こう側の相手を倒す。


蠍「よし…。」


だが、画面の奥の相手も負けてはいない。


一回倒れたが、復活してサソリに挑んでくる。


蠍「…チッ、しつこい野郎だ。」


サソリはそう呟いてまた腕をブンブン振り出した。


サソリのそんな様子を呆れ顔で見ていたデイダラは、

ふとある点に気がつく。


デ「…おい、サソリの旦那?」

蠍「ああ!?何!?うるさいよあんた!!」

デ「なんで…旦那のボクシングの相手、オイラに設定してるんだよ。」

蠍「あ、それはだな、」

デ「しかも旦那、これ二人用でやってねぇ?
オイラ…全く抵抗とかしてねーじゃん。ただ旦那に殴られてるだけじゃん!!」

蠍「別にいいだろ。俺はストレス解消してんだよ今。」

デ「いや…ストレス解消って…」

蠍「なんだ文句でもあるのか?
…そぉぉら!!死ねこの野郎!!」

デ「なッ!!?やめろォォ!!!殺さないでくれオイラを!!!」

蠍「その願いは聞いてやれん!!
キョエェェェ!!!!」


サソリのこのおかしな叫声を合図にまたも画面の奥のデイダラは倒れた。


デ「うわぁぁぁ!!!
なにしてくれてんだサソリの旦那!!!
オイラに一体なんの恨みがあるってんだよ!!うん!!」

蠍「おまっ、デイダラ邪魔だ!!テレビから離れろ!!画面が見えない!!」

デ「知るかぁぁぁ!!!」

蠍「知るかじゃねぇよ!!
早くどけ!!!」


そうこうしているうちにまたも画面奥のデイダラ復活。


蠍「よーし、かかってこいやクソガキ!!」

デ「誰がクソガキだ、チビ!!」


しびれを切らしたテレビに張り付いている方のデイダラは

自らWiiの操作棒とヌンチャクを持って抵抗しだす。


デ「言っとくけどなチビ、オイラは強いんだぜチビ。」

蠍「チビチビ言うなぁ!!!」

デ「でもチビじゃん!!」

蠍「うるさーい!!」


二人は相方を大声で貶しながら操作棒とヌンチャクを振り回して画面の中の相手にパンチを繰り出していく。


デ「死ね旦那!!!」

蠍「お前が死ね!!!」




そんな行為を延々と繰り返していたら、

突然家のインターホンがなった。


蠍「デイダラ客だ!!」

デ「いわれなくても!!」


家主はそう叫んで、ゲームを一時ストップさせ、玄関へと向かう。


デ「いいか旦那。
オイラがいないからって勝手に進めんなよ!?」

蠍「なんだよ、そうしようと思ってたのに。」

デ「ふざけんなし!!」

蠍「いーから早く出ろ!!」

デ「わかってるっての!!」


デイダラは若干キレ気味になって、ズカズカと玄関の方へ行き、「はい。」と言ってドアを開けた。

開けたとたん、飛んできたのは隣のおばちゃんの罵声。


お「あんたたちうるさいよ!!
もっと静かにやってくれんかね!!
これじゃ、昼寝もろくにできないじゃないの!!!」


デ「え、あ、すみません…」

お「いいかい?次騒いだら大家さんに言ってこのアパートから出てってもらうからね!!いいね!?」

デ「あ、はい…。」


隣のおばちゃんはペッと人様の家に唾を吐き捨て去っていった。


げんなりした様子でサソリがいる居間へと戻ってきたデイダラ。


デ「旦那…うるさいって。」

蠍「聞こえてた。
つーかアレ誰?あっちの方がうるさかったと思うんだけど。」

デ「ああ、あの人、隣の佐藤さん。」

蠍「佐藤?名前フツーすぎねぇ?」

デ「一応アレでも回覧板回しあう仲だから、悪くいわないでやってくれ、うん。」

蠍「そう…。
あ、ボクシング続きやる?」

デ「…もういいや。」







‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

後日、佐藤さんは怒鳴ってしまったことをわざわざ謝りに来たという。

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