TAKA★
□自転車
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「すいませーん。遅くなりました。」
「どーもすいませんね先生。
わざわざ呼び出して頂いて。」
「いえいえ。
じゃ、俺はイチャパラの続きあるんでこれで。」
イチャパラって…
仕事しろよ仕事…。
「はーい、ごくろうさまです。お仕事頑張って下さい。」
いや、仕事じゃねーから。
アホだろアンタ。
「で、君。名前は。」
「お前に名乗る必要はない。」
「どこのマンガのセリフだよ。
カッコつけなくていいから、フツーに言って、フツーに。」
「ふん。」
不意に背後に多量の視線を感じて振り返ってみると、
我がクラス、高1-2の連中が若干にやけて俺のことを見下していた。
いや…若干にやけてるのは大笑いしたいのをこらえているからか…?
つか、絶対そうだろ。
あーもー、何なんだよアイツら…。
「いーよもう。笑いたきゃ笑え。」
俺が呆れてそう言うと、
1-2から聞こえる楽しそーな笑い声。
…人の不幸を笑うってなんつー性格してんだアイツら。
もうアイツらもケーサツに逮捕されればいい。
「ねー、君。
なんで私に呼び出されちゃったのかわかる?」
「…俺に八つ当たりしたいんだろ。
ふざけるな。アンタの部下にしろよ八つ当たりは。」
「いや、別に八つ当たりとかじゃないんだけど。
そんなくだらない内容で学生を呼び出したりしないんだけど。」
「…。」
「あれだよ君。朝、私が君の自転車について質問したら無言で去っていったじゃない?」
「それがどうした。」
「いやぁね、最近、この近辺で自転車の盗難があったわけよ。
で、盗難にあった自転車に似てる自転車をテッテー的に調査してるんだ。
…それで君、ちょっと署までお願いできるかな?」
え、いきなりですか。
ちょっとはアピールさせてくれ。
「おーい部下達よ!!
こいつの自転車パトカーにつんどけぇ。」
「アイアイサー★」
どんな返事だよッ
「じゃ、ちょっと、手錠かけさせてもらうね。」
「おい待てよ。
署まで云々いう前に、俺、自転車なんてとってねーから。」
「えー?
ホントかなぁ?」
「何だよその顔。
俺を疑うのもたいがいにしろよ?」
「部長!!
自転車積み終わりました!!」
「ごっくろーさん★
…ということで、行こうか。」
「俺の話を聞けッ」
「大丈夫、パトカーの椅子は座り心地満点だから。」
「知らねーよ椅子のことなんか!!
とにかく俺はやってない!!
大体、盗んだ自転車で朝登校しねーだろフツー!!」
「だろうけど、君はしそうな顔してるもん。」
「どんな顔だよッ」
「もー、うるさい!!
ずべこべ言わずに乗って!!
私も一応仕事でやってんだから。」
「いーやーだー。」
「のーって!!」
「絶対やーだ。」
「あ、もう。手錠かけます。」
「え!?マジで!?」
「んふ、マジでー。」
「ちょっ…やめろよハゲ!!」
俺の抵抗もむなしく、
ハゲは俺の両手首を手錠にかけた。
「はーい、完了。
鍵は署にあるから、それとってほしけりゃ署まで来ようか。」
「アンタ…
これとったら絶対殺す。」
「出来るもんならやってみなさい。
はい、sit down!!」
「くっそ…ッ」
俺はそのハゲに堪忍(?)して
おとなしくパトカーの座席に座った。
…座り心地、ビミョー…。
パトカーが発車する寸前に1-2の連中の方を見たら、
奴らは笑顔で俺に手を振っていた。
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