The Union 忍

□紅とアスマのloveA新婚日誌
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今日は、最愛の妻の誕生日だ。



一応、毎年、彼女の誕生日には俺の愛情とバラの花束をプレゼントしている。




この行為はだんだんと毎年の決まり事のようになってきているのだが…




「いっつも、
いつ渡せば良いのか分からなくなるんだよなぁ…。」



バラの花束を背後に隠しながら、
自らも台所の奥の方に隠れてぼやっとため息をつく俺。



「うーん…。」



台所の向こう側からは、楽しそうなトークが聞こえてくる。



しかし何故、バラの花束をすんなりと渡せないのかと言うと、


まぁ…照れくさいっていうのもあるけど、

それ以上に、



ナルトたちに冷やかされるのが嫌だっつーのがある。




毎年毎年6月の11日になると俺と紅のプライベートスペース(自宅)に押しかけてきて
ホームパーティーを勝手に始めるんだよアイツら。



そこで紅が「迷惑、帰れ」とか言って追い払ってくれればそれに越したことはないんだけれど、


残念なことに毎回ノリノリの妻ときた。



しまいには「いらっしゃーい」とか快く招き入れてやがる。




そりゃ自分の誕生日会だし、ノリノリになっちゃうのは仕方ないが…



俺のこのもどかしい気持ちも、

少しは考えてくれよ…。





若干そわそわしながら、俺は腰を浮かせて紅の方を見てみた。



彼女の周りには若者数十人がうじゃうじゃいて、
笑顔で談笑している。



「早く散れッ
ガキども!!」



小声でだが、ついついあらぬことを口走ってしまった。



いい大人が情けないな…と一瞬自己嫌悪に浸った。



でも大人でもそう文句言いたい時って沢山あるよな。



だって人間だもん。




「はー…。」



俺は早く紅と2人きりにならねーかなとため息をついて再び腰を下ろした。



「そーいやさ、ダンナさんはどこ行ったんだってばよw」



俺がぼけーっとバラの花束を眺めていると、
ナルトの野郎がとんでもないことを紅に聞いていた。



「え…?」



キョトンとした声を発する妻。



「うおおッ
ナルトのバカ野郎!!」



俺はかなり焦る。



絶対アイツ、俺のこと冷やかしたくてそんな発言してるんだろ!!



最悪だッマジ!!



てゆーか、大人をからかうんじゃあない!!



「ねーwどこなの?どこなの?w」



なんかすごく潤った声で妻に迫っていく金髪のガキ。




頼むよー?紅。



俺の居場所は何があっても言うなよー?



俺は、恥ずかしい思いをしたくないんだ。



お前だってそうだろ?多分。



たかが16歳のヤローどもにヒューヒュー言われたかぁ、ねーだろ?




俺が必死に願掛けをしていると、妻の「ダーリンは…」という戸惑った声が聞こえた。




そう!!そう!!戸惑って!!


そしてごまかして!?



「夫は今ハローワークに行っているわ。」とか言ってごまかして!?




「ダーリンはぁ…



台所の奥に潜んでるわよ?何でかしらね。」





……。



いやごまかせよ!!



何正直に白状してんだよちょっと!!




もう、うわァァッ

赤面確定!!



泡になりたい俺!!




「はぁ?
何愛する妻の誕生日会んときに隠れられんだよ、アスマは。」


シカマルからの的確なツッコミが聞こえた。


「おーい、アスマのおっちゃあん!!
隠れてねーで出て来いよーw」


ナルトがいかにも楽しそうに手招きしている。



「ああもう…。
わかったよ…。」



俺はぼそっと呟いてから、のっそりと立ち上がると、台所から出た。



「…何で隠れてたの?」



俺が皆の前に姿を見せると、
紅からの冷たい目線。



「えーと…それはな…」

「それは、何?」

「みっ…みんなに、冷やかされるのが嫌で…」

「…。」

「あ、でも、渡すもんは、ちゃんと渡すから…」



俺はそう小さく言うと、

一歩紅から身を引き、
彼女の前に跪いて、

花束を前に捧げた。



これは毎年やっているポーズ。



それから毎年のように言っているセリフを口に出す。





「紅…誕生日おめでとう。

I love you...」



「…。」





恥ずかしいけど、


今年もキマッた…!!







‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

行動とセリフがクサすぎて、
冷やかすにも冷やかせなかったという。

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