VPMシリーズ

□輝ける星
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とある昼下がり。

平日と言うこともあって、人気の少ない電車の中で揺れる広告を何気なく見つめる。


ファッション雑誌の表紙の写真が大きく取り上げられ、表情のキツめな少女が『憂鬱な雨も気分上々☆うきうきレイングッズ特集』の文字の横で、こちらを睨んでいる。


(憂鬱な気分が上々になるっていうんなら、京子ちゃんみたいに明るくて楽しそうな雰囲気の出せる子を使えばいいのに)


そう思いながら、広告から目を外し、外を見る。


俺の周りの人たち。

先生、京子ちゃん、ハル、クローム…
みんな変わりないのに。



流れていく景色は、見慣れたもののはずなのに。


こうして眺めるのも慣れたはずなのに。






俺は、いまだに一人でいるということになれることができないでいた。


一人。

そう、

あの日を境に、俺の前から、山本も獄寺君も姿を消してしまっていた。








携帯もつながらないし、マンションにも帰ってこない。

あの日のまま、部屋の中は変わることがないのに。


何度、一人マンションの部屋で泣いただろう。

その声を聞いて、部屋から飛び出してきて心配してくれる二人はいない。


それがますます孤独を浮き彫りにさせられているようで悲しい。



(なんで、なにも言わずにいなくなっちゃうんだよ)



山本のお父さんの家にも行ってみた。

帰ってきてねぇよ?とお父さんがびっくりしていて、俺の前からいなくなったことすら知らなかったみたいだった。


すまねぇな、あのバカが暴れたせいで謹慎中なんだろ?と気の毒そうに聞かれて、うやむやに、はぁと返事するしかない。


(本当は、ほぼ解散に近い解体…)


俺しか、いない。


どこに行ったのかすらわからない。


獄寺君に関しては、怖いながらもビアンキに聞いてみた。


知らないわよ、とあっさりと言われた。
…想像通りだったけれど。



もちろん、先生にも聞いてみた。

やはり想像通りに、答えてくれなかったけど。



(でも、先生が絡んでいるんだろうな)

あの二人が俺に何も言わずに姿を消すなんてありえない。



先生が隠していることを、俺が探し出せるとは思えなくて、あきらめている。




(…だって、信じてるし…)




あの二人がこのまま俺の前から永遠に姿を消すなんてことはないって。


どこかで元気に頑張ってるって。


いつか、また会えるって。



そう思っていると、じわり、と視界がぼやけた。




そう思うしか、今頑張る糧がないのだ。


そう、信じるしか。





そうして、俺はもどっていらっしゃいという母さんの言葉を断り、今もあのマンションに住んでいる。

いつ帰ってきても分かるように。


3人でいたころより、だんだんとみっともなく散らかってきてはいるけれど。


眠い中、掃除したり、洗濯したりと楽なことは一つもないけれど。




でも、二人との思い出の残っている部屋から離れることができないでいた。





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