楽しい診断

□ごっくたん♪
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9月9日を数日過ぎたある日。



「・・・今更だが、誕生日だったな、獄寺」


リボーンの、この上なく切ない一言から始まった。


「・・・・は、はい、そうっスね」

ひきつった顔で返事する獄寺。


「ちょ、リボーン!!俺も忘れてたっていうか、気にしてなかったけど!なにもみんなの前でそれを言うことないだろ!!」


ここは、ツナの家。

部屋には、ツナ、獄寺、山本、リボーンにビアンキがいた。


・・・誰もが誰一人として、獄寺の誕生日を覚えていなかったわけだが。

「いえ、10代目!夏休み明けで忙しいときに生まれてすみません!」


涙目で謝る獄寺に、謝ることじゃないだろッ!と励ますツナだったが。


「・・・あれは、自分が一番ヒデーこと言ってるの気がついてねーな」

「ある意味、ツナだけ覚えてたらそれでよかったのにね、あの子」


リボーンとビアンキは、不憫な獄寺を見てボソボソ呟いている。


あまり励まされすぎて、余計に悲しくなりつつある獄寺を見て、余計にもっと励まそうとするツナが、意思の疎通と言う距離はどうあれ、実際の体の距離が、どんどん獄寺と近くなっていくことに気がついた山本は、それとなく間に体で割って入った。


「おっし!!んじゃ、これから獄寺の誕生日会をやるのなっ!」

「あ、じゃあ母さんにご飯用意してくれるように頼んでくる!」

すくっとあっさり獄寺から離れて1階に降りていくツナにがっくりしている獄寺。


「…てめぇ、わざとだろ!?」

「何が?誕生日のことなら、自分のと親父のとツナくらいしか覚えてねーのな!ワリ!」

「さわやかぶってんじゃねぇよ!なんでそこでてめぇの家族と10代目の誕生日のだけ覚えてんだよ!」

「親友だからな」

「わざとらしいんだよ!!」

ツナがいないときの、いつもの不毛な言い争いが始まった獄寺と山本の間に、今度はリボーンが体で割って入った。


「まあ、落ち着け。…いつも頑張りの割には不憫な獄寺。おめーにもたまにはいい思いをさせてやろうと思って考えたことがある」


「り、リボーンさん!!」


嬉しいけど…、その気持ちは嬉しいけど、なぜだか、すげー怖いっす・・・

獄寺、心の声を口にすることは、できなかった。




「お待たせー!母さん、張り切って買い出しに出かけたよ!!」

にこにこしながら部屋に戻ってきたツナが揃ったところで、リボーンは今回の企画を口にした。



「今回は、題して、『ごっくたん♪〜キス我慢選手権大会〜』を獄寺誕生日会として開催する!!」


「「「んなっ!!????」」」


不明な題目に、一同眉をひそめる。

が。

「キキキキ、キス!?今、キスとおっしゃいましたか、リボーンさん!!!」


すでに顔を赤くしながら興奮した様子で詰め寄る獄寺。


「ああ、言ったな」

「うわぁああああvvvvv」


しれっと返事をしたリボーンに、ますます興奮する獄寺。


「誕生日くらい、いい思いさせてやらねーとな?」

「ありがとうございます!ありがとうございます!リボーンさん!!」

男泣きで、感謝を述べ始めた獄寺に、ツナは、じりじりと部屋から出て行こうとしたが。


「…だめよ。主役がいないと始まらないでしょ」


「ヒィッ!っていうか、この場合、主役は獄寺君だろ!!俺は、母さんの手伝いをしてくるから、みんなは楽しんで!!!」

いつの間にやら背後に回り込んで、逃げられないように羽交い絞めにしてくるビアンキの腕から逃れようとジタバタするが、さすがはその道で知られた暗殺者。
逃げられる気がしない。


「けっ、普段ママンの手伝いを何も手伝ってねーくせに、こんなときだけ調子がよすぎるぞ、ツナ」

「10代目は、俺のこと、祝ってくださらないんですか???」


最もすぎるリボーンの突っ込みと、うるうるしながらの獄寺の情に訴える問いかけに、ツナは、あああ・・・とうなだれる。


(今に始まったことじゃないじゃないか、リボーンの横暴企画…)


遠い目をしながら、おとなしくビアンキに連行されて、獄寺の横へと移動させられた。



「・・・?」


それまで妙に静かだった、山本と目が合う。

山本は、かすかに頷いてくれた。


(…俺に任せとけ、ってこと?なんとかしてくれる??山本・・・!!!!)


ツナは大いに感動したが、山本の意味するところは少し違っていた。





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