ranma 1/2

□あかね1/2
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──ついに。ついに、やって来たぞ!

心の中でガッツポーズ、そして涙─…しているつもりなのだが、それはちゃんと彼の行動に表れていて、あかねはその隣で呆れたように彼を見遣った。



「泣くほど嬉しいわけ?女々しいわね」

「うっせえ!おめー、俺がどれだけこの日を待ち望んでたかわかんねえのかよ!?」



──分かるわよ。

心の中でそう呟いて、あかねははしゃいでいる許婚をまぶしく見上げた。



快晴の澄み渡った青空の下、早乙女乱馬はついに、悲願の中国・呪泉郷への来訪を果たしたのだった。









高校を卒業して直ぐに、二人は家族の姑息な陰謀によって、二人で中国へと渡る羽目になってしまった。

道中お決まりの喧嘩はあったものの、取り合えずどうにかこうして無事に、目的地・呪泉郷に辿り着くことが出来た。



「ねえ、ガイドさん呼んで来た方がいいんじゃない?」



あかねがもっともな提案をすると、乱馬は億劫げに眉を顰めてみせた。



「ああ?めんどくせーな、俺は一刻も早く男に戻りてーんだよ」

「……あのね、あんた馬鹿?どれが男溺泉か分からないじゃない。怪しい泉に落ちて、また変態体質になりたいわけ?」

「うっ…」



乱馬は言葉につまり、益々顔を顰めた。

これ以上の変態体質になってしまっては収集がつかないというものだ。

ここは逸る気持ちを抑えて、あかねの言うとおりにしたほうがよさそうだ、と思い至る。



「─…まあ、男溺泉は逃げないしな。じゃ、あかねはここで待ってろよ!」



言うが早いか、乱馬は息つく間も惜しいというように、高く跳躍して走り去っていった。






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