ranma 1/2
□childish children
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(※捏造未来・次世代中心)
「おーい、待ってくれー!」
走る。走って、走って、走りまくる。
そして私は今日も、「あいつ」から逃げる。
「おーい!」
脚力には自信がある私が、唯一敵わない相手。
その証拠にほら、あいつはもう私のほんの数メートル後ろまで来てる。
「ったく、ひどいなあ。逃げるなよな」
いつのまにか涼しげな顔で隣を走っているあいつ。
私は若干焦りつつも、かばんをあいつにぶん投げる。
「おおっと!」
渾身の力をこめたかばんが、力強い腕にいともたやすく止められた。
腕力には、自信があるのに。
「…ついて来ないで」
ぷいとそっぽを向いた私を見て、あいつは──響竜牙は、八重歯を見せてからからと笑った。
「好きなんだから、しょうがないだろ」
──ああ、だから。
あいつがこんなに真っ直ぐだから、私はこんなに曲がっていく。
私は早乙女ゆかり。
両親は格闘家で、家には道場がある。
家は私のお母さん・あかねの実家で、道場も元々はおじいちゃんのものだった。
お父さんの乱馬とお母さんが結婚して、道場を継ぐことになった。
二人は高校を卒業してすぐに結婚して、二年後に私が生まれた。
今では私も高一。
それでも二人の仲の良さは変わらない。
その二人が勝手に決めたもの。
それは、私の「許婚」だった。
相手はあいつ、響竜牙。
竜牙のお父さんの良牙は私のお父さんの親友で、同い年の私達が生まれたときに、勝手に私達を許婚にしてしまった。
わりあい近所に住んでるからか、小さい頃から、竜牙は何かと私に絡んできては、好きだ好きだと連発する。
私はいつもそれを跳ね退けて、逃げ回ってきた。
──親に決められた相手となんて。
だから、竜牙を好きになんかなりたくない。
私の精一杯の見栄と意地だった。
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