ジーーーーッ…
＜只今より、風林館高校学園祭最終演目・三年Ｂ組による『白雪姫』を上演いたします。出演者……＞
「…ちょっと！もうアナウンス始まっちゃってるじゃない！！」
舞台裏で鼻息も荒くそう言ったのは、今回の劇のヒロイン・白雪姫役の天道あかねである。
その出で立ちは、はっきり言ってかなり可愛い。絵本からそのまま飛び出してきたかのようだ。
まさに適役、これほどにこの役に合う女子は他にいなかっただろう。
「……外見だけはな」
ぼそりと呟いたのは、あかねの許婚の早乙女乱馬。
ちなみにあかねがご機嫌斜めな理由は、もちろんこの男のせいである。
「まだ着替えてないっ！！ほら、あたしもう出番来ちゃうわよ！！早く着替えてきてよっ！！」
「ぜってー嫌だねっ！！あんなもんお断りでいっ！！」
…そう。ふたりは朝からずーっと、このことに関して揉めていたのだ。
半ば押し付けられるように「王子様」の役をやらされる羽目になった乱馬なのだが。
…どうしても、その「衣装」を纏おうとしないのである。
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