novels 2

□スカビオサ
1ページ/6ページ


 「…あかね」

 突然聞こえてきた声に、瞬時に覚醒したあかねはあまりに驚いて、ベッドから飛び起きた。

 「ら、乱馬!」

 「しーっ!!大きな声出すなよ、今何時だと思ってんだ?」

 「それはこっちの台詞よ!」

 あかねは肩で呼吸しながら、ベッドの脇から自分を見下ろしている乱馬を軽く睨みつけた。そして彼のすぐそばに置かれている時計を見て、眉を思い切り顰めた。

 「…まだ朝の四時じゃない!何だって言うのよ?」

 乱馬はあかねが怒っているにもかかわらず、どこか上機嫌に口笛を吹いた。

 「早く起きて、支度しろ。出かけるぞ」

 「えっ、こんな時間に!?」

 「いいから、早くしろよ!十分以内に支度しろ、いいな?」

 そう言って一方的に戸を閉めた乱馬を、一瞬呆気に取られたように見て、まったく自分勝手なんだからとあかねはため息をついた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ