novels 2

□銀の唄
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月光を受けて煌めくひとひらの竜鱗を見下ろしていた。

純白で白銀のそれは、ある日夢枕にて語りかけてきた、かの人の囁きを運んでくるかのようで。



……近くても遠くても、何処にいても。

心はいつだって共に。



彼は彼の一部分をわたしにくれた。

ではわたしは何を捧げれば良いのだろう?

問い掛けは月夜の静寂の中へとすいとられていく。




竜鱗が煌めいた時にはまた、あなたを想って窓を開け放とう。

その白銀に、月に向かって飛翔する白龍を思いながら。

何も持たないわたしだけれど、この心ならばすべて捧げることが出来る。

それしかいらないとあなたは言ってくれるから。



「ねえ、ハク。今日も月が綺麗だよ」



こんな日にはいっそう、あなたに逢いたい。

ねえ、窓なら開けておくから。

夢枕でもいい、わたしに逢いにきて。






end.

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