月光を受けて煌めくひとひらの竜鱗を見下ろしていた。
純白で白銀のそれは、ある日夢枕にて語りかけてきた、かの人の囁きを運んでくるかのようで。
……近くても遠くても、何処にいても。
心はいつだって共に。
彼は彼の一部分をわたしにくれた。
ではわたしは何を捧げれば良いのだろう?
問い掛けは月夜の静寂の中へとすいとられていく。
竜鱗が煌めいた時にはまた、あなたを想って窓を開け放とう。
その白銀に、月に向かって飛翔する白龍を思いながら。
何も持たないわたしだけれど、この心ならばすべて捧げることが出来る。
それしかいらないとあなたは言ってくれるから。
「ねえ、ハク。今日も月が綺麗だよ」
こんな日にはいっそう、あなたに逢いたい。
ねえ、窓なら開けておくから。
夢枕でもいい、わたしに逢いにきて。
end.