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□二つめの心臓
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あの胡散臭さ100パーセントの閻魔とかいう先生から貰った簡易な地図を辿ると、真新しい綺麗な建物が見えてきた。この現代風の美しい荘厳な建物は日和学園。今日から僕はここの生徒になる。経緯は何だか良くわからないものだったが、何分僕もあの時はそれどころではなく、動揺していて、二つ返事で了承してしまったのだ。


運命の悪戯とでも言おうか。まったく、人生というものは何が起こるか良くわからないな、と苦笑して、僕は校舎に入る。一人だけ学ランで、他の生徒から明らかに浮いている。目立っててしまって恥ずかしい、と早歩きになった。





閻魔先生と校舎内で落ち合う約束をしていたので、職員室を探す。どこにあるのか、この学校は広すぎると肩を落とす。

職員室を散策しながら、廊下を歩いていると、背後から大きな声が聞こえた。





「お前………っ!」




振り向くと見たことのない顔が二つ。
一人は色黒で金髪で、目立つ生徒。もう一人は切れ長の目で綺麗な顔をしている。二人共だらしなく制服を着くずしている。



初めて見た顔だった。





お互い見合ったまま沈黙が流れた。僕のことを知っている素振りだったが、人違いだろう。
相手を観察しても思い当たらない。こんな派手な奴らまず忘れないだろうし。





「いーもこっ」



明るい声が降ってきて、肩に手が置かれる。
閻魔先生だ。
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