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□単発物
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【愛の代りに自由を失った】
―愛している
そう、耳元で囁かれたのは今日が初めてのことじゃない。
そして、肌を重ねるのも。
「ぁ、くっ……ふ」
「…声を出せ」
不機嫌そうな声が聞こえてくるが、そんなのに構う余裕なんて、俺には無い。
身体が、熱い。
可笑しくなりそう。
実際、そうなんだろうな、と熱に翻弄される頭の片隅で思う。
俺も、アッシュも、可笑しいんだ。
「声を出せと言っているだろうが」
あ、と思った時には噛んでいた左腕をつかまれ、ぱっと口から外される。
恥ずかしさに閉じていた瞼も開けてしまう。
すると、そこにはやっぱりというか当たり前だけどアッシュが居て、翡翠の目がこっちを見ている。
アッシュの目は好きだ。でも、この時の目は正直、苦手だ。
「ぃ、」
嫌だと首を振る。のとアッシュのが入ってくるのは同時だった。
そこは散々、アッシュの指と自分の出したので解されていた。だから痛みはほとんどない。
でも、身体を割って侵入してくる物の異物感は…中々慣れない。
「やあぁっ!」
「初めから大人しく声を出してりゃいいんだよ」
ぐちゅぐちゅと嫌な水音が耳を侵し、火傷をしそうなぐらい熱い部分はどんどん俺を侵蝕していく。
アッシュのが入っている。それを嫌というほど感じる。
「…入った、ぞ」
「あ、あ…はッ」
魚みたく口を開け酸素を求める。目からは自然と涙が出ていた。アッシュの言葉に答える余裕なんて、無い。
ぽろぽろと涙を流す俺を、アッシュの手が赤子をあやす様に撫で、瞼、頬、口、首へとどんどんキスを降らせて行く。
そのキスに、全身を撫でていくその指に、
「…愛している」
その言葉に、与えてくれる熱に、絡め囚われていく。一度それを知った俺はそこから逃げ出すことなんて出来やしないんだ。
***
ぬるめで、尻切れ。ですが、裏に収納。