Main(TOA)

□拍手ログ
2ページ/3ページ


アッシュが攻めっぽくないけれど、アシュルクだと言い張ってみた拍手










「…」

えーっと。
それが今のルークの心の声だった。

今は夜。嬉しいことにルークには一人部屋が与えられていた。

それがこんなにも有難いと思う日が来るとは。

「えと…アッシュ?」
「…」
「何か、あったのか?」

背後に居るアッシュからの返事は無い。

「何かあったんなら、俺でよければ話を聞くけど…」
「…」
「なぁ。アッシュ?」

ルークがアッシュの顔を見ようと振り向くと、耳の直ぐ傍で「動くな」と声がし、前に回されたアッシュの腕に力が篭る。

密着した背中。肩に圧し掛かっている重みにルークの心臓は爆発しそうだ。

「でも。後ろからだとアッシュの顔が見えないし」
「…見なくていい」
「アッシュはそれでいいかもしれないけど、でも」

こんな状態のアッシュなどルークは見たことがない。

ルークの中では、アッシュはいつも一人で何でもこなし、弱音を吐かない、そんな人物だと思っていた。

だから、いつもの様に窓から入ってきたアッシュに、背後から抱きしめられるなんて思いもよらなかった。

「心配じゃんか」
「…」
「だから、」
「少し、」
「ん?」
「少し、お前のバカ面を見たくなった。それだけだ」

それだけ言うと、アッシュは沈黙した。

アッシュの言葉に『バカ面を見たいんだったら、それこそ後ろから抱きつくなよ』や『バカ面ってなんなんだよ』などの言葉が浮んだが、言っても無駄に終わるだろう。

「…なんだよそれ」

素直じゃないな、と少し憤慨しながらも、背中の温かさは嫌いじゃない。
むしろ、アッシュの方から触れてきたことは素直に嬉しい。

『でも、まぁ、いいか』

ルークは暫くアッシュの好きにさせておいた。





翌朝、ルークが起きた時には既にアッシュの姿は無く、アッシュが寝ていた場所もすっかり冷めてしまっていた。

「ん?」

がしがしと頭を掻き、昨夜のアッシュは何だったんだろうと考えていたルークの目がテーブルで留まる。

ルークは手を伸ばし、寝る時にはなかった紙を掴んだ。どうやら部屋に備え付けのメモ帳のようだ。一読したルークは苦笑する。

「素直じゃない奴」


―邪魔したな





野良を躾ける100の方法
『愛情を持って接してあげましょう』



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ