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□拍手ログ
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アッシュが攻めっぽくないけれど、アシュルクだと言い張ってみた拍手
「…」
えーっと。
それが今のルークの心の声だった。
今は夜。嬉しいことにルークには一人部屋が与えられていた。
それがこんなにも有難いと思う日が来るとは。
「えと…アッシュ?」
「…」
「何か、あったのか?」
背後に居るアッシュからの返事は無い。
「何かあったんなら、俺でよければ話を聞くけど…」
「…」
「なぁ。アッシュ?」
ルークがアッシュの顔を見ようと振り向くと、耳の直ぐ傍で「動くな」と声がし、前に回されたアッシュの腕に力が篭る。
密着した背中。肩に圧し掛かっている重みにルークの心臓は爆発しそうだ。
「でも。後ろからだとアッシュの顔が見えないし」
「…見なくていい」
「アッシュはそれでいいかもしれないけど、でも」
こんな状態のアッシュなどルークは見たことがない。
ルークの中では、アッシュはいつも一人で何でもこなし、弱音を吐かない、そんな人物だと思っていた。
だから、いつもの様に窓から入ってきたアッシュに、背後から抱きしめられるなんて思いもよらなかった。
「心配じゃんか」
「…」
「だから、」
「少し、」
「ん?」
「少し、お前のバカ面を見たくなった。それだけだ」
それだけ言うと、アッシュは沈黙した。
アッシュの言葉に『バカ面を見たいんだったら、それこそ後ろから抱きつくなよ』や『バカ面ってなんなんだよ』などの言葉が浮んだが、言っても無駄に終わるだろう。
「…なんだよそれ」
素直じゃないな、と少し憤慨しながらも、背中の温かさは嫌いじゃない。
むしろ、アッシュの方から触れてきたことは素直に嬉しい。
『でも、まぁ、いいか』
ルークは暫くアッシュの好きにさせておいた。
翌朝、ルークが起きた時には既にアッシュの姿は無く、アッシュが寝ていた場所もすっかり冷めてしまっていた。
「ん?」
がしがしと頭を掻き、昨夜のアッシュは何だったんだろうと考えていたルークの目がテーブルで留まる。
ルークは手を伸ばし、寝る時にはなかった紙を掴んだ。どうやら部屋に備え付けのメモ帳のようだ。一読したルークは苦笑する。
「素直じゃない奴」
―邪魔したな
野良を躾ける100の方法
『愛情を持って接してあげましょう』