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□ハロー、懐かしき時!
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「急いでくれよ…!」

急がなければ間に合わないのだ。
しかも、自分が何とかできるのもなら幾らでも急ぐけれども、アリエッタの友達の背に乗せて貰っているものだから、気ばかり焦る。

「でないと、…でないと俺」

トリトハイムに足蹴にされちゃう(目薬使用)



【邂逅、そして暗転】



米粒大のタルタロスが見えたのは、それから数時間後。硝煙の黒い煙がちらほらと見える。

「あーあ、もう作戦開始してるのか」

その名もイオン強奪作戦。

あの陸艦で殺戮が行われていると思うと、どうしても顔を顰めてしまう。

「その指示を素直に受けるアイツも馬鹿だけど」

嫌なものを吐き捨てるように呟く。

「けど、諌め切れなかった俺も…同罪だな」

なにせ、俺自身も外から見ればこちら側の人間だ。苦く重い物を飲み込んだ気分になる。

眉間に指を当て、ふぅ、と息を吐き出す。俺が今、しなければならないことだけに集中しないと。

感傷は後でいくらでも出来る。

「アリエッタのお友達!あと少しだから、頑張ってくれよ…!!」

太く、逞しい首を叩いてやると、遠吠えのような(ライガはイヌ科なのか?)鳴き声を上げた。



***



「お、…俺が」
「そこを」
「殺し」
「どけぇぇえ!!」

叫ぶのと同時に、アリエッタのお友達(ライガ)の背から手を離す。

宙を一回転しながら体勢を整える俺、と先に甲板に逞しい四足で轟音を立てながら着地するライガ。

そして、ライガの傍らに

「着地、10点満点!」

両腕を天に向け、揺らぎの無い素晴らしい着地を見せる俺。姿の無い観客へ向け、お辞儀をする。

ライガが着地するときに何かを吹っ飛ばした気がするが、まぁ、いいか。

「…あー…あの、貴方は」
「おぉ、あのライガの突撃を食らっても避けるなんて。さすがだな、ジェイド」
「…いえ、敵に褒められるなど虫唾が走りますね」
「確かに、そりゃそうだ」

何か変な物を見る目を向けてくるが、無視。
それよりも俺はこっちの方が大事だ。

「それよりも、」

ぎろりと甲板の上、逆光になり黒い点にしか見えないがそこに向けて叫ぶ。

「そこに居るンだろ!出て来いっ!!」
「…」
「大人しく出てこないんだったら、後でどうなっても知らないからなッ!!」
「…チッ」

距離は遠いけれど、確かに聞こえた。アイツ、絶対、舌打ちしやがった。

俺の声に応える様に、黒い点は染みになり、人の形を取り始める。

「俺、言ったよな?」

甲板に降り立った人物に向け、言い放つ。

「これだけには絶っ…対、サインしていけって」
「…」
「貴方は」

つい、と視線を反らすアッシュ。
アッシュの顔に見覚えがありまくるであろう、ジェイドが口を挟もうとするが、俺の用事を済ませる方が先だ。

「しかも、お前の部屋に入ったら何があったと思う?」
「…勝手に部屋に入るなと、何度も…」
「んなら、期日過ぎた書類をさっさと出しやがれっ!!どんだけ俺が頭下げて回ったと思ってる!!」
「…」
「兎に角、これだけには今日中、いや、今すぐここで、この場で!サインして貰うからな」

俺の怒鳴り声が聞こえたのか、何人かの兵が駆け寄ってきた。
そんなお仕事に熱心な彼等に向け、笑顔で尋ねる。

「今すぐここに、机とインクと羽ペン、用意してくれるか?何なら、机は空の木箱でもみかんのダンボールでもいいぞ」
「し、しかし。ルカ響士。今は作戦中でして」
「…早くしろ」
「は…はい!」
「あと、お前とお前はアッシュが逃げないよう見張れ。残りの者は…」
「きょ、響士は如何されるので?」
「ん?あぁ、アッシュがこんな状態だからな」

誰のせいだ、誰の。とぼやくアッシュ。
それはお前自身のせいだろと睨むと視線を反らした。

全く、グレるのは分かるけれども、することはちゃんとして欲しい。…もしかしたら、最後には俺がどうにかするから、アッシュが働かないだけなんじゃ…とすら思えてくるけれど。

「代わりに仕事だよ」



***
ふっとばされる主人公とヒロイン
そして、アッシュの言葉をルカが乗っ取った
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