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□ハロー、懐かしき時!
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先ずは深呼吸をしてみよう。
前、ムカつくけれども信頼の置ける眼鏡の軍人が言っていた。混乱した時、慌てている時ほど、落ち着いて行動するのが大事だと。
横隔膜を押し下げて、肺一杯の酸素を取込む。二三度そうしていれば、その内に、
その内に…
「…って、落ち着くかー‼」
***
まず、状況整理をしてみる。
俺はヴァン師匠を倒した。
地殻に降りて、ローレライを解放した。
大爆発と乖離で俺は死ぬ筈だった。
…what?
いや、寧ろこの場合は何故のwhyだろうか。そもそもどうしてタタル渓谷に居るのか意味不。
「助かった…って思っていい、のか?」
どう思い出しても助かる要素は0だけれども。まさか奇跡でも起きたのだろうか。
そよそよと心地よい風が吹く中、胡坐を掻いてうんうん唸る。
唸り
唸り
唸りまくって、
「だー!もうっ意味わかんねぇ!考えるのは止めだ!!止めっ」
思考するのを放棄。
立ち上がって、どすどすと足を踏み鳴らしながら出口に向かう。
「ったく、どうしてこんな場所に」
「つか、皆はどうなったんだ?」
「大丈夫なのか?」
「アッシュは?」
「それにヴァン師匠は?」
ぶつぶつとぼやく俺は魔物に出会うことなく、出口に到着。(ぶつぶつ呟く俺が怖くて、魔物が逃げた訳じゃないと信じている。断固として)
「辻馬車…とか居たら楽なんだけれど、そう都合よくはいかないか」
はぁ、と溜息を一つ。
タタル渓谷を背に歩き出す。目的地は一応、ケセドニア。
ふと、振り返り懐かしさに目を眇める。
ティアに飛ばされ、初めて海を見た場所。
「……よし、行くか」
そして、顔を前へと戻した。
その時はまだ俺は事態の深刻さに気付いていなかった。
***
逆行シリーズ
ルー君、この時18歳
ルーク&アッシュ、この時11歳