Main(DD)
□adult&child
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【邂逅】
それは、賞金首を追っていた道中でのこと。
「はぁ〜…ったく、サザーラン課長は人使い荒いし、賞金首の情報はガセだし、収入は増えないし、まともな依頼は無いし」
口から零れる愚痴は際限無い。
操縦環を握る指が単調なリズムを刻む。
「ロルカ屋からも月賦の請求が来ているし、ちまちました請求も来ているしなぁ」
朝に見た請求書の束を思い出し、溜息が出る。
決して無駄遣いをしている訳ではない。し、働いていない訳でもない。
依頼をこなすために必要な咒式具の整備、封咒弾筒や咒弾の購入。情報屋への支払い等が経営を圧迫しているのだ。
現在、収入と支出がとんとん。ほんの僅かに収入が上回っており、それが主な俺の給金となっている。
ならば依頼を数多くこなせばいいだけなのだが…
「どこかに前衛咒式士、落ちてないかなぁ…」
残念なことに我が事務所には戦力が足りない。
はぁ、と癖になった溜息がまた口から漏れる。ついでに昨日からの張り込み等で寝ていない脳が酸素を要求。欠伸が出る。
そして、それは欠伸をし、気の抜けた絶妙なタイミングだった。
反射的にブレーキを踏み付ける
アスファルトを擦るタイヤの耳障りな音
慣性の法則によって前のめりになる体
その一瞬の出来事の間に、何かとぶつかる鈍い音が耳に着いた
「嘘、だろう…?」
操縦環を握りしめながら、呆然と呟いた。
「人身、事故…」
***
ガユスさんが人身事故を起こしました