Main(DD)

□adult&child
2ページ/9ページ

【邂逅】



それは、賞金首を追っていた道中でのこと。

「はぁ〜…ったく、サザーラン課長は人使い荒いし、賞金首の情報はガセだし、収入は増えないし、まともな依頼は無いし」

口から零れる愚痴は際限無い。

操縦環を握る指が単調なリズムを刻む。

「ロルカ屋からも月賦の請求が来ているし、ちまちました請求も来ているしなぁ」

朝に見た請求書の束を思い出し、溜息が出る。
決して無駄遣いをしている訳ではない。し、働いていない訳でもない。

依頼をこなすために必要な咒式具の整備、封咒弾筒や咒弾の購入。情報屋への支払い等が経営を圧迫しているのだ。

現在、収入と支出がとんとん。ほんの僅かに収入が上回っており、それが主な俺の給金となっている。

ならば依頼を数多くこなせばいいだけなのだが…

「どこかに前衛咒式士、落ちてないかなぁ…」

残念なことに我が事務所には戦力が足りない。

はぁ、と癖になった溜息がまた口から漏れる。ついでに昨日からの張り込み等で寝ていない脳が酸素を要求。欠伸が出る。

そして、それは欠伸をし、気の抜けた絶妙なタイミングだった。




反射的にブレーキを踏み付ける

アスファルトを擦るタイヤの耳障りな音

慣性の法則によって前のめりになる体

その一瞬の出来事の間に、何かとぶつかる鈍い音が耳に着いた



「嘘、だろう…?」

操縦環を握りしめながら、呆然と呟いた。

「人身、事故…」


***
ガユスさんが人身事故を起こしました
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ