孤独

□せまりくる闇の手の中に真実はある
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「神崎ハルト。
反政府組織のリーダー。
反政府組織とは、超能力を持つ集団で、超能力を使ってクニを治めようとする。
最後に神崎ハルトとして、彼が姿を表したのが、二年前のトウキョウ『サンシャイン』ビル、崩壊の時だ。
それから、ずっと行方不明だったが…まさか、クニの重要な位置についている。」

若い青年は言う。それに答えるようにコンピューター。

「名前を偽っています。しかし、本人はそれを隠している。」

「まあ、いい。どう、転んでも、私にとっては楽しいことだ」

ケラケラ笑いながら青年はモニターに映る、現在な神崎ハルトを愛しそうに見つめていた。





――――――――――――



「神崎ハルト…って知ってるかい?」

フッと眠りかけてた頃に葵の声。

「えっ、あっ!!はい!」

「反政府組織のリーダー。大罪人の名前さ。」

何故、急に葵がそういうのか理解できない。

ここは資料室の一番奥。

そこには、テーブルと椅子があって、座って資料が調べられるようになっている。

そこで葵と義文は2012年のことを調べていた。

「彼には特殊な能力があったそうな。」

気がつくと、葵の顔は真ん前にあった。


「……どうしたんです?突然……」

葵は普段、眼鏡をかけているが、今日はかけていない。
どうしてか…。

「…覚えてナイ…のかい…」


「…なんのこと…です…?」

真剣な顔をしている、葵のことを…

「…君は…いや…。
君が神崎ハルトなんだ。
そして…僕の想い人だ。」


「………!!」

思わずショックで椅子からずり落ちた。

ガタンっ!!

「…大丈夫かい?」

手を差し延べてくれる。
それをかりて立ち上がった。

「…何を…。そんな冗談…。いくら、オレが記憶ナイからって…。あんまりですよ。」

ほこりをはたいていう。

「嘘…じゃないよ。トウキョウ『サンシャイン』ビル崩壊前、僕たちは恋人だった。」


「そんな。それじゃ、ロミオとジュリエットじゃ…」


「違うよ。だって僕も反政府組織の一員だったんだ。崩壊後はみんな隠れた。」

その後、総理になったんだ。

忘れてしまったのか?

と無言のうちに葵の瞳が言う。


「信じてないようだね。
いいよ。証明してあげる」

そういって、念じると本棚から本が一冊浮いてとんでくる。


「これは初歩的なもの。
君の方が凄い事ができた」

「じゃ…」

「広井様、伊藤様、もう下校時刻です。」

下校時刻になると学校の鍵は厳重に閉められる。

「続きはうちで話そう」
葵は、さっさと一人で部屋をでた。






――――――――――――




「ここが国会だ。ここを狙う。
みんな、明日は頑張って、最良の結果をだそう。」

「やめてくれよ!ハルト!!
こんな危険な…!!」

ハルトは涼しげに振り向くと笑って

「何、心配してんだ?葵。今までだって成功してきた。
明日も大丈夫だ。

オレは『サンシャイン』に一人で向かう。」
お前らは国会を…。

「そんな…」

涙を落とす葵にハルトは優しく微笑みながら

「大丈夫だ」
『愛してる』を小声でつけたした。誰にも聞こえないように。
そして軽く、葵の頬にキスをした。


翌日、国会の方はうまくおとせた。

でも、葵は不安で一杯でとうとうたえきれず『サンシャイン』に向かった。

そこは火の海で最悪の状態。

中にハルトの気配がする。

急いで中に入ってハルトを救いださなければ!!
中へ入って上の階へ上の階へと上がって行く。

ガタッ!!

凄い音を立てて上の階がおちてくる。

「ハルトぉー!どこだー!!」

声がない。もしかして…。

最悪の時の考えが次から次へと浮かんで不安になる。

もしかしたら、すでにハルトは…。

「ハルトぉー!返事をしてくれよぅ!」

「…葵…?」

咳とともに返事が返ってくる。
(生きてる!!)

「ハルト!そこにいるんだな!?早くこっちへこい!!」

呼んでも来ようとしない。火はもうすぐこっちまで…。


「何やってんだ!早くこい!」
死にたいのか!?

すると、ハルトは悲しそうに笑って

「ごめんな、葵。でも、オレ行けねぇよ。

ごめん…本当に…。
愛してるよ。さよなら。」

そのまま、立っている、ハルトを見つめる。

「…なんで…」

ハルトは何も答えない。

そのまま火がまわる。

それでもハルトは動かない。

火がハルトを包んだ。

「葵…。お前は死ぬな。これから重要なことはお…まえ…」

そのまま、火に包まれて、先の言葉は聞けなかった。

「ハルトぉぉぉー!」

葵は叫びつづけた。

ずっと、ずっと…。
心のかぎり…。

何が超能力だ。
何が人を越えた存在だ。

そんなの、何も関係ない。

今、大切な人を救えないで、何の意味がある?

そんなの必要ない。

大切な人はどうして、逝ってしまったのか!?

どうして、オレを置いて…。

彼は未来を読むことができた。

なのに、何故、死ぬ必要があったのか。


心は叫び続ける。


唯一の人を求めて…。










彼の存在を見つけた時、どんなに嬉しかったことか!!

でも、何故、恋人である自分に二年間も消息を知らせてくれなかったのだろう?

全ての謎はすぐに解けた。

彼は…。『神崎ハルト』は記憶を失っていた。

その変わりに『伊藤義文』という別の名前の、性格の青年が存在した。


どんなに待ち焦がれただろう。


彼に会うことを。死んだと思って諦めなければならなかった存在…。

存在する。それだけで十分だ。

洗脳されてるかもしれない。

彼は政府につかまっていたようなもの。

でも、大丈夫だ。これからは僕が彼を護ってゆく。
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