Short Story

□幹部によるBirthday Party!
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【幹部によるBirthday Party!】



丑三ッ時水族館閉館後、館内ではパーティーが行われていた。
もちろん、館長の誕生日パーティーである。

発案者はもちろんあの律儀なイッカク。
鉄火マキが面白そうだと賛成し、
ドーラクはランク上げと称して賛成。(本当にランク上げのためかは不明)
デビルフィッシュも鉄火マキ同様、面白そうだと賛成。
フカとカイゾウは兄貴分だからだとか、孫のためにだとか言いながら賛成。
サカマタはもちろん可愛い(自分の)館長のために、イッカクよりも張り切っている。
因みに、この作戦は一ヶ月前から決まっており、影でコソコソと準備していたのだ。

伊佐奈は大人であった時は誕生日を別段気にしていなかったが、子供の今、誕生日が近づくにつれてソワソワとし始めていた。

「(サカマタ達、祝ってくれるかな…。プレゼント貰えるかな…)」

そんな伊佐奈の姿を壁の向こうからサカマタは盗み見て、誕生日パーティーを開けば絶対喜んでくれると確信した。

1月24日…つまり、伊佐奈の誕生日1週間に2月1日は早めに閉館することを、伊佐奈に気づかれないように客に告知した。

そしてとうとう、1月31日の閉館後…。
いつものようにサカマタは無邪気に遊ぶ館長の相手をし、その隙に幹部は明日のパーティーで使うものを確認。
あとは、専門店に頼んだケーキが当日の閉館1時間前に来たら準備は完了。

幹部達は伊佐奈が眠った後、最後の打ち合わせをした。

「まずは、閉館後すぐに準備だ」

「その間、館長の足止めキチンとしとけよ?サカマタ」

「問題ない」

「我々は魚達と飾り付けをすればいいんだな!」

「そそうだ…」

「私も飾り付け担当ー!」

「俺も飾り付け担当だ」

「ワシは館長のためにショーをするんじゃ!」

そこでふと疑問が浮かんだサカマタ。

「誰がケーキを配達員から受け取るんだ」

人の形に近いとはいえ、人前に出れば騒がれること必須な幹部の面々。

「では、私が帽子を被って取りに行こうではないか!」

イッカクが挙手をし、そう言った。
じゃあそうしよう、と皆は賛成。
イッカクは帽子を被ればたいして違和感はない。正に適任。

こうして誕生日パーティー前夜は過ぎていった。


そして、2月1日閉館1時間前。
配達員がケーキを届けに来た。イッカクはそれを怪しまれる事もなく、普通に受け取る事ができた。

「ありがとうございましたー!」

「配達ご苦労!」

イッカクは落とさないよう慎重にケーキを前もって用意していた冷蔵庫に入れた。

「よし!ミッションコンプリートだ!」


そして、閉館後…。
サカマタが館長室を訪れる。
そこには、お絵かきをしている伊佐奈がいた。

「何を描いてるんですか?」

「えっとね、サカマター!」

見せられたのは、どうも黒い塊にしか見えない絵。

「はあ…」

「でね、こっちがイッカク!」

こっちもただの黒い塊だ。
本当に小さな子供が描くような絵にサカマタは少し笑いそうになった。

「あ、今笑った…」

今にも泣き出しそうな声で言う。

「あ、えっとですね…」

何と弁解していいのかわからないサカマタは慌てた。
そのとき、ドアをノックする音が響いた。入ってきたのは、ドーラクだった。

「サカマタ準備出来たぞ…ギシシ。館長泣かせてやんの」

そう言って出て行った。
伊佐奈がぐいぐいとサカマタのマントを引っ張る。

「準備って何?」

「行ってからのお楽しみです」

伊佐奈を頭の上に乗せて、サカマタはパーティー会場に向かった。


会場の扉の前に着くと、伊佐奈を降ろし扉を開けるように言った。
伊佐奈が扉を開けると、クラッカー音が響いた。

「「ハッピーバースデー!館長!」」

そこにいる全員がそう言った。
伊佐奈は途端に笑顔になり、ありがとうと言った。

その時の笑顔に幹部のみならず魚達も癒されたという。

パーティーはサカマタが思った通り成功。伊佐奈はとても喜んだ。

そして、伊佐奈がプレゼントであるクジラのぬいぐるみを抱き抱えながら眠ったのを見届けて、幹部と魚達はパーティーの後片付けに取り掛かるのだった。




END
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伊佐奈館長誕生日企画に投稿したものです。



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