黄色い彼女
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暗い路地を歩く。
地球人から身を隠すために、人気の無いところで皆は店を営む。
『急がねぇと隊長がうるさいよなぁ』
でも面倒だ、と走ったりはしない。
それにヒールを履いているため、走ると足が痛くなる。
荷物はケロロに持たせているから手持ちはほとんどない。
腕の時計を見ると、短針が5を指していた。
しばらく歩いていると、後ろから複数の足音が聞こえた。
立ち止まって後ろを振り向くと、10人はいるであろう見知らぬ宇宙人の群れ。
そいつらは銃を構えていた。
「お前はケロン人か?」
『なんでそう思う?』
「匂いだ」
『へぇ。あんたら見たことねぇ奴らだな』
「見たことないだと?貴様らケロン人は殲滅した宇宙人の顔はすぐ忘れるんだな。我々はガイラ星人。10年前に貴様らケロン人に滅ぼされたのだ!」
そのガイラ星人はいきなり襲ってきた。
こちらは一人だというのに、彼らは全員で一気に襲ってきたのだ。
『チッ、マジかよ…!』
太股に取り付けていた銃を取り出し、奴らに撃ち込んだ。
相手は少し離れた所で止まった。
『デザートイーグルとベレッタ。地球製だからケロン製より劣るがあんたらにはこれで十分だろ』
転送リモコンがケロロに渡した荷物の中にあるので、武器庫にある武器を取り出せない。だから、もしものために、と隠し持っていたのだ。
「なめやがって…!」
ワラワラと襲ってくる奴らを倒しながら、隊長迎えに来ないかな、なんて思った。
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その頃、ケロロはというと…
「あれ欲しいな〜、いやあれも捨て難い…あ、あっちも!」
ガンプラを漁っていた。
クルルが大変なことになっているとも知らずに。
はたから見ると、いい大人がガンプラを見ながらニヤニヤしているのだ。
「そういえば、クルルは遅いでありますな〜。かれこれ30分はたってんのに」
早くしないとガンプラ屋が閉まっちゃう、と憤慨するケロロ。
仕方ないと向かえに行くことにした。
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撃っても撃ってもキリがない。明らかにさっきより人数が増えている。
銃弾は掠りもしていないが、返り血は盛大に浴びている。着ていたゴスロリが赤黒く見えるくらいに。
あぁ、ギロロ先輩に怒られるかもな。
『ったく、しぶてぇんだよ』
連射を続けるがいい加減腕が痛い。
せめてケロロの持っている荷物の中にあるリモコンがあれば、結構楽だったかもしれない。
後ろから物音が聞こえた。即座に構える。
『あ、隊長』
「うっわ…!何これ。どしたのクルル?あと、そちらさんは?」
『簡単に話すと、過去にケロン軍が滅ぼした星の生き残りどもだ』
「なんで戦ってんのさ!」
『向こうから襲ってきたんだよ』
ケロロが持っていた荷物に手を突っ込み、リモコンを取り出す。
それを操作して、ケロン製の銃を転送した。
『隊長も頼みますよー』
はい、と銃を手渡す。
「早く終わらせて帰るでありますよ」
はい、と受け取る。
それと同時に相手が襲ってきた。
それからは激しい銃撃戦だった。
最後の一人を倒すと、ホッと一息ついた。
「あーあ、ガンプラ屋閉まったでありますよ」
『今度な〜。カレーをプラスしてプレゼントしてやんよー』
「え?マジ?」
『えぇ、マジです』
ケロロの背後にいた奴が動いた。
「死ね!ケロン人め!」
クルルはとっさにケロロの前に出て、ケロロを庇った。
銃弾は脇腹に当たった。
『グ…ッ!』
クルルはそいつを撃ち返した。
「クルル曹長!」
『チッ…仕留めきれてなかったか…ゲホッ…ウグッ…』
「どど、どうしたら…!」
『リモコン使っ…て、俺らを…転送すりゃあいい…ゲホッ』
クルルは吐血した。
どうやら銃弾に毒でも塗っていたらしい。撃たれた所から、ジワジワと熱が広がっていく。
ケロロはリモコンを操作して、地下秘密基地の会議室に自分達を転送した。
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