Middle Story

□子供館長
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ある日、いつもの早朝会議に現れない館長・伊佐奈を見に、サカマタは館長室へ向かった。


こんこんとドアを叩くが返事はない。
失礼します、そう述べて入る。

何とも変化のない館長室。
早く人間に戻りたい、そう言う館長は会議に数分遅れることはあっても、30分も遅れたりはしない。

「館長…いないのですか?」

返事はない。
道に迷うような人でもないので、ここにいる可能性は高い。

ふと、ベッドを見ると膨らみがあった。

寝坊か、そう思い近寄る。
顔は見えない。
どうやら、ベッドに潜っているらしい。

そっとシーツをめくると、サカマタの目は大きく開かれた。

「か、館長が………」

ベッドに眠っていたのは、およそ7歳くらいの伊佐奈そっくりの子供だった。



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―会議室―

幹部が席に座り、サカマタと館長が来るのを待っていた。

「ねぇ…サカマタと館長まだ?動かないと死ぬんだけど」

「ギシシ…館長のことだ。こんなつまらん会議に出る気が失せたんだろ」

「会議は大切だ!つまらんなどと言ってはいけないだろう!ドーラク殿!」


その時、カツカツと足音が聞こえてきた。
やっと来た、と静かになる幹部達。

しかし、目を向けるとサカマタだけだった。

「サカマタ殿、館長はどうした?」

イッカクが問い掛ける。

「でら困った事になった」

「なな何だ?」


サカマタが後ろを向く。それにつられて皆がサカマタの後方にいるマンタを見る。
マンタの上にいたのは、館長と同じ格好をした7歳くらいの子供だった。
その子供はキョロキョロと皆を見渡し、ニコっと笑った。

「……ここれがかか館長?」

「あぁ」

「サカマタ、確証はあるのか?」

「眠っているのを無理矢理起こしたら、尾で叩かれた」

あぁ、だからサカマタはボロボロなのかと納得する幹部。
突然、ねぇ…、と子供の館長が話しはじめた。

「君達、だぁれ?」

「…記憶も無いらしい」

「無いらしい、じゃねぇよ!どうすんだよこれから。俺が館長の代わりに仕切ってやろうか?」

フカの提案をスルーしてサカマタは言った。

「もし、館長が戻るまで休館し、客足が落ちたら、館長のことだ。でらただじゃすまないだろう。幸にもスポンサーの来る予定もない。いつも通り運営するぞ。因みに、館長が戻るまで俺が指揮する」

「いいんじゃないのー?フカに任せるよりいいし」

早く動きたいがため、投げやりになりつつある鉄火マキ。
他の幹部(フカ以外)もサカマタに任せることにした。

「しし失敗してて、館長にこ殺されててしまえ…」

一部サカマタが管理責任で落とされることを願う幹部もいるが、ここで会議は終了となった。
もちろん、館長代理となったサカマタには、子供になった館長の世話も任される。

「でら忙しくなりそうだ」

「サカマター、俺って何したらいいの?」

「何もしなくていいですよ」


子供館長はサカマタの癒しとなりつつあった。




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日記で書いたネタ。
サカマタは水族館の苦労人なんですよー

館長はたれ目っぽいんで、子供な館長は可愛いはず。
天然で酷いこと言うような子だよ、多分。


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