A-Dream
□アイツに気をつけろ!
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仕事の為に生徒会室に来た駿河幸輝は目の前の光景にこれでもかというほど驚愕した。
「失礼します〜…えぇえぇえ!?ど、どうしたんですか!?会長!!」
「うるさいぞ、幸輝。何をそんなに慌てている?」
「いや…だって会長の頭の上に…」
幸輝の目線の先には、朔耶の髪からぴょこっと飛び出た2つの――ネコ耳があった。
「あぁ、これか」
チラリと自分の頭上に目線をやり、いつもと変わらぬ口調で話し出す朔耶。
「昨日、うちにアヤカシにとりつかれていたという奴が来てな。放っておいても良かったんだが、悪霊化しそうな程、事態が進んでいたのだ…祓えるものが俺しかいなかったから祓ってやった」
朔耶から少し離れた場所の椅子に、背もたれを抱えて、座っていた剣が続けて説明する。
その表情は限りなく笑顔で、うっすらと目には涙を浮かべていた。
「そしたら〜その人からアヤカシを引き剥がしてみたら、なんとっ!白いフワフワの毛並みのネコだったんだって〜♪」
「ネ、ネコですか?」
「そのネコに一瞬気をとられているうちに、会長の中にネコのアヤカシが入ってしまったらしいです。なんとも間抜けな話ですね」
雅も口に笑みを浮かべて、事の成り行きを幸輝に説明した。
「それでネコ耳…。しかし、アヤカシが中に入っていて大丈夫なんですか?会長」
「フ…俺を誰だと思っている。この程度のアヤカシ、内側から抑えているから何の問題も無い。思念が強くて耳だけ外に出てしまっているが…この耳もアヤカシが見える奴にしか見えないから、生活に支障は無いしな」
シャキーン
「ぶっ!!ネコ耳がピンと立った!!!」
「自信満々に言われてもネコ耳では…なんとも滑稽ですね」
「…っ!!」
幸輝も思わず噴出しそうになり、手を口で覆う。
――――ガラガラ
「神代君いる〜?」
生徒会室に白衣に手を突っ込んだ京先生が入ってきた。
「え?どうしたのその耳?コスプレに目覚めたとか?」
京は朔耶の髪から生えている、2つの白いフワフワなネコ耳を見て、顔に驚きの表情を浮かべた。
「くだらん事を言ってないで用件を言え。俺は忙しい」
「え〜先生にそんな事言っちゃって良いのかな〜?じゃじゃーん♪これな〜んだ!?」
「それは…!」
ピクピクピク…
「ぶはっ!?なんか京ちゃんの出したカードみて、ネコ耳が超反応してるんだけど!?」
「顔は無表情なのに耳だけ嬉しそうに動いてますね。会長があそこまで反応する、あのカードは何なのでしょうか?」
「あれは確か…お菓子のおまけのカードで、全種類集めるとフワフワグッツがもれなく貰えるってやつだったような…」
ピタッ
「あれ?耳の動きが止まったぞ」
「…おい、顧問」
「何?」
「このカードはすでに持っている…全く使えん奴だ」
「え?そうだったっけ?」
シューーン
「あ!今度は耳がへたってますよ」
「あちゃ〜よっぽどショックだったんだねっ」
「どうやらあの耳は会長の感情をそのまま表しているみたいですね。面白いですし、一生あのままでいてくれませんかね?」
「おい、貴様ら!無駄口たたく暇があったらさっさと仕事をしろっ!!」
『は〜い』
ネコ耳をピンと立てて、皆をまくし立てるその様は、いつもの威厳を8割方そぎ落としていたのだった。
END
――――
朔耶祭りにリクエストして頂いたイラストのおまけで勝手に書かせて頂いたギャグ夢。
素敵なお題があるとキーが進んでサクサク進みますね(^^)
こちらはSnow様のみお持ち帰り頂けます。
20110701 タイトル変更