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□涙で濡らして
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──運命は運命なんだ。生まれた時から決まっているのさ。
いつからかずっと、夢の中の道化師が言っていた。
道化師の表情は、夢のたびに違って。
いつも通り戯けていたり、無表情だったり。
その夢を見る度僕は、泣くことも怒ることも、
笑うことも忘れていった。
心が色をなくしていくのを感じた。
運命への諦めを覚えて。
そしてどこか深くで、
──道化師への憎しみを覚えて。
「この世に生きるものは誰も、運命に抗うことなどできないのさ。死ぬまでね…」
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