shortbook/event
□不器用サンタ
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「折角のクリスマスなのに一緒に過ごす人もいないなんて…ふっ…あんたも可哀想な子ね。」
「なっ…余計なお世話よ!そういうグレルだっていないじゃない!」
「あたしは残業があるんだからいたっていなくったって同じなのよ。」
「あたしだって残業よ!だからこうして今必死にグレルの終わらなかった分の書類手伝ってるんじゃない。」
「大体、手伝ってあげてるんだから文句言わないでよね!?」なんて言ったら、「あたしは頼んでないわ、上の奴が勝手に頼んだんじゃない」なんて言うもんだから腹立つ!
素直に「ありがとう」も言えないのか!このオカマが!
「あーぁ、ケーキ食べたかったなぁ〜…」
嫌味っぽく言ってみる。
でも、
「……」
「……」
「……」
無視か!ちょっと大きい声で言ったから聞こえてるはずなのに…!
その後も色々大きな独り言を言ってみたが全て無視されたので仕方なく手元の書類に目を通し始めた。
−−−−−
「あ…れ?…」
気づいたら寝てしまっていたらしい。時計に目をやると日付は25日に変わってから3時間経っていた。
「やっ、やばい!」
慌てて机から顔を上げると肩に乗っていたタオルケットが落ちた。自分でかけた記憶がないから多分グレルがかけてくれたんだと思う。その本人は夢の中だが…。
拾おうとして身を屈めると足元に見覚えのない紙袋が置いてあった。
「ん?…」
私はその紙袋に手を伸ばした。
「勝手に開けちゃまずいかな?」なんて思いつつも中身を見ると
「…ケーキだ…。」
私が大好きなお店のケーキ箱が入っていた。その箱にはカードもついていて、
"味わって食べなさいよね"
なんて超一言の文がかいてあるからグレルからのプレゼントだと確信した。
食べたいって言ってたの聞いてくれてたんだ…。
…凄い嬉しい。
でもね?私は幸せは皆で分け合うものだと思うからケーキはもう少し御預けします。でもいつまでも「待て」は出来ないから早くしてよね。
「プレゼント、ありがとう。」
タオルケットをかけてお礼を言っただけじゃ歩が合わないかと今回は特別サービスで頬にプレゼント付き
私だけの赤髪サンタは小さな寝息を立てながら幸せそうに微笑んだ。
end