とある魔術の禁書目録

□パステル・ドロップス
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「おい。」
急に話しかけられ、その方を向くと、よく知った人物が、そこには居た。
 
 
 
 
「...メルヘン先輩」
 
 
〜パステル・ドロップス〜
 
 
「メルヘン言うな。...何してんだ?」
  
「急に話しかけて馴れ馴れしいですね。
..飴を買いに来たんですよ。」
 
 
学園都市での完全下校時刻は過ぎて今は夜中なのだが、夜風に当たりたくなって、私は散歩に出たのだった。
 
先輩は普段から不登校なので学校見かける事なんてあまり無いのだが、どういう縁か、帰り道や買い物の最中等に、よく顔を合わせる事が多々ある。
 
 

「お前は相変わらず憎まれ口を叩きやがるなおい。まあ、良いや。お前、いっつも口ん中に飴入れてるよな。」
 
私はレジに飴の袋を持って行き、会計をする。
買うのはフルーツミックスの飴で、どの味にもミルクが入れられている、パステルカラーの可愛い飴だ。
 
 
「いつもじゃないですよ。私、こう見えてかなりの甘党で。口淋しい時とかに飴食べるんです。」
 
会計を済ませた私はコンビニを出る。
隣のレジでミネラルウォーターを買った先輩も、後に続いて来た。
 
 
 
 
 
 
何故か一緒に公園に来てしまった。
ベンチに座り、私は先程買った飴を開封して、中身の1つを、口に入れた。
 
「それ、何味だ?」
不意に、先輩が聞いて来た。
 
「パインミルクです。」
 
「じゃあ俺にもそれくれ。」
はぁ..良いですけど、と言いながら、私は飴を渡した。
 
「何でわざわざ同じ味にしたんです?」
私は不思議になって尋ねた。
すると先輩は飴を口に入れ、こちらからは目を背けて答えた。
 
 
 
 
「どんな些細なもんでも、好きなお前と同じが良いんだよ。」
 
言った途端に、先輩の顔が赤くなる。
 
それを見て、私の顔も熱く火照るのを感じ、私の心が、淡くて綺麗なパステルカラーに染まっていく感覚がした。
 
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