短編小説置場

□メイン小説「いじめ」より部室編 【完結】
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床に散らばったシャツとジャケットを着て、ふらつきながらも直樹は一人立ち上がった。

一体どうすればいいのだろうか?
ジャケットを精一杯下に引っ張っても、下半身を隠すことは出来なかった。
今日、どうやって帰ればいいんだろう・・・。
蕾からあふれ出す精液が足を汚していた。
直樹は泣きながら個室に入ると、学校から誰もいなくなるまで隠れていた。
みんながいなくなれば、教室にジャージを取りにいける。
そう独り言のように呟きながら、数時間個室で泣き続けた。

窓の外がすっかり暗くなり、学校のざわめきがなくなるのを確かめると、直樹はそっと個室をでて両手で下半身を隠しながら教室へと急いだ。
長い廊下を走りながら、どうして自分がこんな目にあうのかとずっと考えていた。
教室は誰もいなく、慌ててロッカーからジャージを取り出すと着替えた。
下だけジャージだとおかしいので、上もジャージを着て、ようやくホッと落ち着いた。
周りは静まり返り、直樹の嗚咽だけが響く。
カバンに教科書をしまいながら、周りを見渡した。

この学校に転校してから、静かに教室で座っているのはこれが初めてだったかもしれない。
毎日放課の度にトイレで犯される。
授業中にも、バイブを入れることを強要されたり、自習の時はクラス全員に犯されたりと、じっくり教室を見ることはなかった。
なんとなく、教室を歩き回った。
教室内では、四つんばいで歩くことを強要されていたから・・。
涙が止まらなかった。
凄く広く感じた教室が、今日は狭く感じた。

こうやって見ると普通の教室なのに・・・・。

今までの学校でも散々いじめられてきたけれど、女子が止めに入ってくれていた。
だからこんなひどい目にあうこともなければ、授業中も先生の目を怖がり誰も手をだしてこなかった。
それなのに、ここは違う。
普通の教室に見えるのは人が誰も居なくなったときだけなのだ。

しばらく一人教室にいたが、学校内に誰も残っていなそうなのを確認して、直樹は教室を出た。
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