リク小説置場

□Selfishness
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「あの数学教師がお前を当てたんだって?」
冷たいポカリスウェットのペットボトルで真が俺の頭を叩いてきた。
机に突っ伏す様に眠っていた俺は目を覚ます。
顔を上げると真の顔が目の前にあった。
俺は黙ってポカリを奪い取ると一気に飲んでいく。
ごくごくと冷たい液体が喉を通っていくのが気持ち良かった。
「おいおい、人のモン勝手に飲み干すんじゃねえよ。」
俺はちらっと真に視線を向け、少し微笑むと最後までポカリを飲み干した。
「あ!こいつマジで俺のポカリ全部飲み干しやがた!」
あわてて真が取り戻そうとペットボトルをつかんだが、すでに中には何も残っていない。
「あ?俺のために買ってきたんじゃねえの?」
俺が言うと、真は軽く俺の頭を叩いた。
「あほか!誰がお前のために買ってくるっつうの!」
「そ?これがお前の愛情表現かと思ったんでね。」
俺は笑った。
真は空になったペットボトルを逆さにして、わずかに残っているポカリを飲もうと口を開ける。
「口移しで飲ませてやろうか?」
真は口を開けたまま俺を見ると露骨に嫌そうな顔をして
「バカか?お前は。」
と言ってきた。
「お前らって本当に仲いいよな。」
隣の席に座っていた純が会話に入ってくる。
「こんな素直で真っ直ぐでいい奴な真と、こんな性格がひねくれて、冷めている考哉が仲いいってのはいまいち納得できねえな。」
それを聞いて真が笑った。
「別に考哉の性格がひねくれているって思ったことないけど?どちらかって言うとかわいいって感じ?」
真の回答に純はきょとんとしている。
「言ってろ、バカ。」
俺はそのまま机にまた突っ伏した。
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