リク小説置場

□野生
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裕也を見て以来、オレは毎日の様にグランドに通った。
クラスの連中に裕也の事を尋ねたとき、初めて話しかけてきたオレに驚きの表情を浮かべていた。
「ああ、そいつは池上裕也っていうんだけど、何かあったの?あいつはスポーツ推薦で入ってるから特待生クラスだよ。」
どうりで・・・・。
まじめな奴らばっかりいる学校にはそぐわないと思った。
「あいつらは、スポーツするしか脳がないからな。」
クラスメイトは侮蔑の表情を浮かべてグランドを見下ろしていた。
まじめな彼らにしてみれば、勉強もできずスポーツ推薦でこの学校に来ている奴らが気に入らないのだろう。
オレにしてみれば、勉強しか出来ない奴も、スポーツしか出来ない奴も同じだとしか思えないのだが・・・。
「それよりお前、この前の中間テスト一位だったらしいじゃないか。どうやって勉強してるんだよ?」
興味深深といった感じで聞いて来る。
「別に・・・・・。」
「お前いっつも授業中寝てるのに、なんかやってんじゃねえのか?」
五月蝿く聞くクラスメイトがわずらわしくなり、返事もそこそこにオレは教室をでた。

いつものように、グランド横で裕也の美しいフォームを見つめていた。
不意に、裕也と視線が合う。
そして思いもかけない事に裕也がオレの方へ近づいてきた。
オレはただ呆然と見つめる事しか出来なかった。
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