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□白昼夢9
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少年二人が別館に連れてかれた翌朝、ユージンが目覚めるとベッドの隣でレイモンドがまだ眠っていた。
いつも最大限の限界まで攻められ続けていたユージンはレイモンドより先に目覚めることがなかった。
朝日に照らされるレイモンドの顔は彫刻されているかのように美しかった。
美貌・財産・知力・・・
人が欲する全てを一人で持っているような人だと思った。
そっと髪に触れてみると見事なブロンドの髪が柔らかく指に絡まってきた。
猫でも撫でるようなさわり心地に、ユージンはレイモンドの頭を撫で続けた。
いつもレイモンドが自分にするのと同じ様に。
レイモンドは心地よさそうに笑顔を浮かべて眠っている。
自分の行為にレイモンドが喜んでいるのを感じてユージンは嬉しく思った。
目を開ければ触れることすらままならない、高潔さと冷血さを感じさせるレイモンドが今はただ美しい獣のように感じられた。

 ふいにレイモンドが目を開けた。
ユージンは慌てて手を引っ込める。
「・・・ユー・・ジン?」
眠たそうに目を細めてレイモンドが呟いた。
「珍しいね。お前が先に起きてるなんて・・・。」
そういうと再度瞳を閉じて眠りに入ろうとする。
「・・・今頭を撫でていたのはお前?」
目を閉じたままレイモンドが尋ねた。
「申し訳ありません・・。あんまりにも綺麗な髪だったので・・つい・・・」
ユージンは素直に答えた。
くすりとレイモンドは笑った。
「・・・悪くなかった・・・。そのまま撫で続けて・・」
瞳を閉じたままレイモンドが言った。
ユージンはそろそろと手をレイモンドの頭に載せると撫で始めた。
「・・久しぶりだな・・・誰かに撫でられるのは・・・」
レイモンドが目を閉じたまま続ける。
「子供の頃以来ですか?」
ユージンは自分の母親がそうしたように、レイモンドが子供の頃母親に撫でられていたのかと思った。
「・・・・昔・・・・アルがよく撫でてくれた・・・」
レイモンドはそういった後、嫌なことを思い出したのか眉間に皺を寄せて黙り込んだ。
アルとレイモンドは特別な関係があるのだとユージンはそのとき感じた。
「・・・・・・本当に・・・悪くないものだ・・・」
レイモンドは再び呟くと静かに眠りに落ちていった。
ユージンは無言でレイモンドの頭を撫で続けた。
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