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□いじめ4
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翌朝僕は体を動かすことができなかった。
ベットから起きようと思っても、下半身に鈍い痛みが走り起き上がれない。
昨日の出来事を思い出すたびに、悔しさに涙が出て、そして吐き気をもよおす。
母親には体調が悪いと伝え、結局学校を休んでしまった。
 翌日どんな目にあうのかが怖かったが、それでも実際に体の調子は悪いのだと自分に言い訳をし、深い眠りに逃げるように落ちていった。
母親も仕事をしているので、日中は誰もいない。
誰もいない家の中はとても静かで、安心して眠ることができた。

 あっという間に日が暮れて、気づくともう夕方だった。
母親も帰ってきて夕飯の支度をしていた。
僕は、フラフラと起き上がって母親の所に行く。
「あら、なおくん。起きれるようになったのね。
ご飯できたけど食べられる?」
僕の大好きなハンバーグ。
僕は食卓につき、一口食べた。

なんだか凄くおいしく感じた。

昨日までと変わらない平凡な家。
変わらない母親の優しさ。
まるで昨日起きた事は全部夢だったかのように平凡な時間が過ぎていった。

「昨日帰ってきた時、すごく体調が悪そうだったし心配していたのよ。」
何も知らない母親はニッコリと微笑んだ。
僕は何も言えなかった。
今までいじめにあってきたことも、当然親には言えなかった。
でも、破かれた教科書や制服を見て、多少は気づいていたのだと思う。
その度に僕は自分がやったと言っていた。
親には自分がいじめられているなんて知られたくない。
親も深く聞いてくることはなかった。
 でも、さすがに昨日の事は・・・・。
まさか親も自分の息子が男に犯されまくったなんて想像したこともないだろう。
今までも散々心配かけてきたのだから、そんな事を知ったらどうなってしまうのだろうか?
絶対に言うわけにはいかなかったし、大好きな両親にそんな恥ずかしい事を言えるわけがない。
一体誰に言えるというのか?
無理やり暴力的に犯されただけではなく、僕は殴られることを恐れ、自ら男の肉棒を咥えたのだから!

僕は、他愛のない話をして、「もう大丈夫だよ。明日は学校に行けるから」と言い残し部屋に戻った。

キンコーン

誰か訪問者が来た。
こんな時間に誰なんだろう?
僕は不審に思いながらもベッドに潜り込んだ。
母親が楽しそうに話しているのが聞こえた。


コンコン

部屋のドアがノックされ、母親が入ってきた。

「なおくんの新しい学校のお友達が、心配してお見舞いに来たわよ。」
僕はガバっと起き上がる。

誰が!?

「お友達がお家に来るのなんて初めてだったんで、お母さん嬉しくて直樹が寝ているって言ったんだけど・・・・・。」

一体誰? クラスの奴なら僕を犯した一人だ。
でも、クラスの奴以外に考えられない!

「・・・・・・誰?」
僕は平常心を保ち冷静に母親に尋ねた。

「山口君って子と、そのお友達が2人よ。寝ててもいいから顔が見たいって。心配してるのね。」
母親は一人嬉しそうに微笑んだ。

 自宅まで来るなんて!
僕は襲ってくる恐怖を懸命に隠した。
何しに来たんだ?
もし、ここで部屋に来ることを拒んだら親に何を言うのかわからない。
しかも田島が、山口の実家はヤクザって言ってた。
それこそ何をされるのかわかったものじゃない!

「いいよ、せっかく来てくれたんだから・・・。」
僕は考えられるあらゆる最悪のパターンの中から、最終的に部屋に入れることを選んでしまった。

母親は嬉しそうに山口達を部屋に案内し、お菓子とジュースを持ってきた。

「あ、お母さん。そんなに気を使って頂いたら、こちらの方こそ申し訳ないですよ。
こんな非常識な時間にお伺いしてしまって申し訳ないのに、お気を使わないで下さい。」
山口がにこやかに母親に話しかけた。
母親も礼儀正しい子だと思ったのか、安心して部屋を出て行く。

出て行かないで!
助けて!

僕は心の中で何度も叫んだ。
しかしそれは声にすることは絶対にできないとわかっていた。
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