リク小説置場

□Selfishness
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退屈だった。
昼休みが終わった後、数学の授業はたるい位ダラダラと続く。
聞こえてくる教師の声が、眠りを誘う呪文の様に聞こえてくる。
暑い教室に、わずかに入ってくる風が心地良かった。
窓の外は綺麗な青空。
静かな教室。
教室を見渡すと、みんな半分眠っている。
頭を支えている肘の力が抜け、カクっと頭が倒れ、慌てて目を覚ます。
そんな光景がいたる所で繰り広げられていた。
オレは苦笑する。
退屈過ぎて死にそうだ。
オレは眠りに落ちていく。


「遠藤孝哉!」
突然教師に呼ばれ、オレは目を覚ます。
深い眠りに落ちていたのか、教師は何度も名前を読んでいたようだ。
クラス全員がオレの方を見ている。
「あ、はい。」
呆けた顔のまま、オレは返事をした。
「この問題を解け」
教師は腹立たしげに言う。
オレは黒板の前に進むと、問題を解く。
授業を聞いていなかろうが、別にこんな数学の問題位は簡単に解けた。
スラスラと公式を書いていくオレに教師は何も言えなくなり、黙って見ている。
「これでいいですよね?」
オレは全部の問題を解き、教師に笑顔で答えた。
バツが悪そうに、教師は頷いた。
隣の席の女子が
「凄いね」
と小声で声を掛けてきた。
オレはいつもの愛想笑いを浮かべる。

もうあの教師は自分を当てる事はないだろう。
そう思いながら、再び眠りに落ちた。
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