夢の部屋

□成人の日
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今日は飛段との任務。




飛段とツーマンセルを組む事は滅多にないけど今日は角都が単独任務の為、飛段との任務の日になった。






無事に任務を遂行させた夕暮れの今、アジトへの帰路に向かった。





その帰り道、振り袖を着た女の子をちらほら見かけた。




みんな綺麗な振り袖を着て、友達同士で楽しそうにしている。





あぁ、今日は成人の日なのね。



そういえば私も…







普通の女の子として生活していれば、私もあんな風に成人の日を過ごしていたのかな。






その振り袖を着た女の子達と同い年でも私は暗殺という任務をこなして今日一日が終わろうとしている。








素直に羨ましい…




そう思いながらつい立ち止まってその子達を見ていたら飛段が私の肩に手をポンと置く。










「月夜?どうしたんだよ、早く帰ろうぜ?」



「あ、ごめん、ボーっとしてた」









そう言って私が歩き出して少し経った時、飛段に手首を掴まれた。








「ん?なに?」



「あのさ、少し寄り道してこうぜ?」



「え…?」









そう言って飛段はアジトへの道から離れた方向に向かう。






そのまま私も飛段に着いていくと飛段は甘味処へ入った。






寄り道って此処?









飛段は店内の席に座り、私も向かい側に座る。




飛段は私の前にメニューを開いて置いた。










「今日は俺が奢ってやる、だから好きな物何でも食え!」



「え、どうしたの?そんな気前よく…」



「ほら…お前ハタチだろ?それに今日は成人の日だしよぉ、だからお祝いだ。なんでも好きなもん頼んでいいからなっ」










そう言って飛段は私に笑いかける。





もしかして…さっき私が立ち止まって振り袖の子達を見てたから気にして連れて来てくれたの…?








思いもしなかった出来事と飛段の優しさに涙が溢れた。








「お、おい…!何泣いてんだ?」



「だって嬉しいんだもん…ありがとう、飛段…」









泣き止みたくても涙は出てくる。




飛段は腕を伸ばして袖で私の涙をそっと拭く。









「泣くなって、なんか照れんじゃねぇか…食わねぇんなら俺だけ頼んじまうぜ?」



「グスッ…いや、食べるっ」



「おう、食って元気出してもうそんな顔すんなよな!」


 








成人の日の任務帰り、飛段に甘味処でご馳走になった。






綺麗な振り袖を着れなくてお祝いしてくれる親もいないけど、私の心は充たされた。





ありがとう、飛段。





普通の生活が出来なくても私には私なりの幸せがあるんだよね。







また、明日からも任務を頑張れる。






Fin

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