Dream
□sense
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帰り道。いつものように、幼馴染と並んで歩く。
この時間が一番好きかも知れない。
なんて思っていたら、隣を歩く彼女が口を開いた。
「久しぶりに、精市の家に寄ってもいい?」
「構わないよ」
返事をすると、彼女は、ありがと、と言って小さく笑った。
家に着くや否や、彼女は部屋に直行し、ベッドに飛び込んだ。
「うーん……、…ふわふわ…」
気持ちいい、と呟く彼女を余所に、飲み物を取りに台所へ向かった。
ミルクココアの入ったマグカップを二つ持って、部屋に戻ると、彼女はベッドの上で寝息を立てていた。
「寝ちゃった、か…」
マグカップをテーブルに置いて、布団をかけてやろう、と彼女に近付いた。
薄く開いた口から、すぅ、と。規則正しく零れる吐息。薄桃色の頬。しなやかな肢体。
全てが綺麗で。
途端に触れてみたい衝動に駆られて。彼女の顔の輪郭を、人差し指で、なぞるように触れた。
「…、…ん……」
小さく声を漏らした彼女。嗚呼、もっともっと触れたい。
こんなにも触れたいと思うのは、きっと。
「好き、なんだ…」
彼女のことをいつの間にか好きになっていたのだ。
帰り道を並んで歩く時間が好きなのも。彼女といると胸が高鳴ってしまうのも。
きっと彼女のことが好きだからなんだ。
彼女に布団をそっとかけて、ベッドを背にして座った。
彼女が目覚めたら、この気持ちを伝えようか、と。
少し冷めたミルクココアを飲みながら、思った。
( 好きなんだ、君のこと )
fin.