story (R18)

□てのひらの触れ方
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※薬鴆堂の風呂がどうの、などなど細かい設定は捏造ですのでご注意くださいませ。


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 突然の雨音に、鴆は障子を開けた。先刻は確かに星の輝く夜空があったはずだが、今はまさに土砂降り。
 今夜はリクオが薬鴆堂を訪ねてくる予定で、そろそろ来るかと思っていた矢先の雨だ。まさか降られてやしないかと、真っ暗な空を見上げた。

「−−リクオ」
 庭に現れた人影に声をかけると、ずぶ濡れのリクオがのんびり歩いて来た。妖の姿をしたリクオは、わずかに苦笑して銀色の前髪をかきあげた。鴆も苦笑いを浮かべる。
「降られちまったかぃ」
「あと少しだったんだがなぁ」
 参ったぜ、と笑う。鴆は手を差し延べて、
「上がりな、風呂を用意させるから」
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