story (R18)

□奪い合い
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 子の刻を過ぎた薬鴆堂、当主である鴆の部屋。ひそやかに響く水音とふたり分の吐息。リクオの銀髪が、行灯の温かな光を反射する。
 すでに2回達した体は敏感になるばかりで、鴆の愛撫どころか吐息にすら震えた。鴆も2回、リクオの腹の中へ射精している。繋がる部分は鴆の精液でどろどろに溶け、ふたりの境界が曖昧に感じられる程馴染んでいた。
「鴆、ぁ、ッん」
 胸の飾りを舐め上げられて、かわいらしい声が漏れた。
 鴆の愛撫は止まない。
 触れる度に餓えて、相手が欲しくてたまらない。喰らい尽くすように、奪うように、快感を体に刻み込む。
「リクオ」
 名を呼ばれて、快楽に朦朧とする意識を少し引き戻す。すると、萎えかけた自身を鴆の口に含まれて、とろけた悲鳴をあげた。
「あぁぁ、ぁ……ッ」
 声は甘く色付いて、知らぬ者が聞けばリクオのものだとは信じられないだろう。鴆に蹂躙される事すらリクオには愛撫のひとつで、手放しで快楽に溺れられた。
 
 愛撫の他にはなにもない。
 甘い愛の囁きも、永遠を誓う言葉もなく、ただ欲しがって奪い合う。
 
「リクオ、ほら…もう一回、な」

 それでよかった。
 越えてはならない線を踏み越えた二人に許されたのは、求めて体を奪う事だけ。
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