story
□Happy Halloween
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奴良組本家がハロウィンパーティーを始めたのは、リクオが幼稚園に入ったころだった。
園で作ったというカボチャのランタンを模したお面を持ち帰ったのがきっかけで、カラス天狗がハロウィンについて調べ始めたら後の展開は早かった。
面白そうだ、というだけで、お祭り好きの本家には十分な理由だ。近所の貸元や土地神まで巻き込んで、本格的なハロウィンパーティーを毎年開催するようになった。
戸惑っていた貸元たちも毎年ともなればさすがに慣れて、今ではお菓子を用意して本家の「ハロウィン夜行」−−小妖怪たちのお菓子せびり−−を待っている。
さて本日のお話は、まだリクオが小学校に上がって間もないころのこと。
奴良組の年中行事にハロウィンが加わって数年、リクオが父である鯉伴を亡くしてからも数年。
一時は落ち込んだ様子を見せたリクオだが、父がいないからこそ立派な三代目になって皆を安心させるのだと元気を取り戻していた。