story (R18)
□三度目の正直
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夜更けの薬鴆堂の縁側に、若い妖の影がふたつ。
膝を突き合わせて酒を酌み交わすのが当たり前になって久しいが、この頃はそれだけでは足りなくなった。
ためらいがちに最初のくちづけを交わせば、お互い直ぐに火が着いて、二度目三度目を交わす。
「リクオ……お前をくれよ」
鳥の妖に囁かれ、長い銀髪の妖は目を伏せてわずかに頷いた。
寝室に敷かれた鴆の夜具に二人でなだれ込む。掛け布団を跳ね退け、鴆は主を組み敷いた。
「ぜ、ん……」
着物を掻き分け、耳に首に、噛み付くように荒々しくくちづけを落とす。そんな鴆に、リクオは思わずぞくりと震えた。
ふたりが交わるのは、今夜で三回目。
今までは、こんなに荒っぽい愛撫ではなかった。短気な鴆のわりに、辛抱強くゆっくり愛撫してくれた。
おそらく経験のなかった自分のために優しくしてくれたのだろうと思うと、リクオは嬉しい反面、悔しくもあった。