エクストラ対戦ルート

□『指』
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木漏れ日の入る静かな図書室の一席で、本のページをめくる。
正面から執拗に絡みついてくる視線をひたすらに無視していると、視線の主はついに行動に出たらしい。
鬼道の細く滑らかな指が奪われたかと思うと、上下からの軽い圧迫感とぬるりとした温かな感触。支えを失ったページがぱたん、と閉じて、鬼道は不愉快さを丸出しに目の前の人物を睨みつけた。
「おい」
目の前の人物――不動明王――は楽しげに鬼道の指を咥えながら楽しそうに甘噛みを何度か繰り返し、喉の奥でくつくつと笑う。
「なぁ、知ってるか?」
こちらを挑発するように、上目遣いで覗き込んでくる。
人差し指を根元から指先まで舐め上げて、不動は言った。
「ここで受ける感触は、アソコに連動すんだぜ?」
まるでその行為をしているかのような律動を口で行う。
「バカバカしい……」
そう言いながらも、鬼道の鼓動は既に乱れてきていた。
言葉は『呪』だ。意識しないようにすればするほど、強く意識してしまう。
僅かに生まれた動揺を不動はもちろん見逃さなかった。
ゴーグルの奥にある紅瞳をニヤリとして見据え、
「はなせ。読書の邪魔だ」
「それは、“感じた”と認めたってことだな?」
「違う」
「じゃあ、ソイツはどう説明するんだ?オレは指一本触れてないぜ?」
そういって、不動が促すように鬼道の下半身に視線を落とした。鬼道もつられてその後を追う。

――すると、

それまで『そうなっていた』のかはわからない。
しかし、不動の発した『呪』によって、ソノモノはみるみるうちに熱を持ち、『そうなってしまって』いた。

「……っ」

咥えられた手が目線の高さまで持ち上げられる。
そして、見せつけるように指と、その指の間に舌を這わす。
こちらを見つめながら、反応を楽しむように……


『次は、ホンモノがイイんだろ?』


止められない。

鬼道は俯いて、湧き上がる欲を抑えようとしたがそれは既に遅いことを察する。

止められない。

かけられた『呪』からは、逃れられそうもなかった。




――ほら、こっちに来いよ――




Fin.
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