アイテム2
□暇を持て余した家政婦の遊び
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なんとなく、そんな気はしていた。
昔から、こういった勘だけは人よりも長けていると思う。
日常の中の――『自然』の中にある、小さな『不自然』。
その正体が何なのか、その時はまだ解らなかった。だが、その時それを『気づかなかったこと』にしたら、後から大変なことになる気がする――
恐怖観念にも似た感覚に、不動はその場所から踵を返した。
† † †
――言うなればそれは、当然の結果であったかもしれない。
そう、『当然の結果』。
起こるべきして起こった出来事。
「……ちょ、ちょっと……待って下さい……!」
個室があれば密室ができる。
密室があれば監禁ができる。
監禁ができれば――?
がちゃがちゃと鍵の掛けられたドアノブを回そうとするが、何がどうなるわけでもなく。
状況は何も変わらなかった。
「久遠……監……と……く」
「鬼道……」
じりじりと迫る距離。
逃げ場を失った鬼道は、開くことのないドアに背をべったりとつけて、爪先立ちになる。
久遠の大きな影が、鬼道にかかる。
いつもと違う重圧感。
次の瞬間、開かれた彼の口から発せられた言葉は、とんでもない一言だった。
「鬼道、私に抱かれなさい」
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