アイテム2
□崩壊!?帝国学園物語。
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キャラがイマイチつかみ切れていない人、多々。勘弁して下さい(土下座)
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「はぁー……」
大きなため息は辺見という少年の口から吐き出されていた。
「どうしたんですか、辺見くん」
反応を示したのは経歴一切不明のオヤジ顔、五条である。
「……いわなきゃわかんねぇか?」
「……いや、言いたいことは解りますが。」
帝国学園。
何年もの間不動の優勝校と呼ばれていたサッカーの名門校。
指揮をとる影山総帥を始め、天才ゲームメーカー鬼道に参謀役の佐久間、キング・オブ・ゴールキーパーの名を持つ源田を中心に綿密で的確な作戦・戦略を乱れないチームプレイで遂行し必ず勝利を掴む。
……悲しいことにその勝利は影山によって汚されたものだったのだが――
しかし、今まで苦しい思いや辛い思いをして培ってきたものは本物であると辺見は思っている。例え影山の汚い手引きがなくても十分に優勝は狙えたはずだ。
――まあ、結果的にその実力をつけさせてくれたのは影山総帥なワケなのだが。
しかし。
FFIが始まってからというもの、総帥はその名を抹消されてるし、鬼道はだいぶ前に転校してしまったし、佐久間はなんか知らないけどいないし(鬼道を追いかけて密入国したという噂がある)源田は高飛車な女につれていかれるし、しかも一緒になぜが鳴神も寺門も連れていかれるし、土門なんてアメリカ代表とかもう意味わかんねーよなんだよもう知名度あんの俺(辺見)と洞面と咲山と五条しかいないじゃねーかよみたいな感じで、サッカー部のレベルが依然と比べて遥か地に落ちたんじゃないかと泣きたくなっていた。
現に泣いていた。
「辺見さん、これで涙を拭くといいですよ、ハイ」
「……オマエもさぁちったあ現状を考えろやそういうことするから他のやつらも真似をして毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回―――――!!!お前ン中の常識で人間はオデコから涙を流すのかッ!?!?いい加減にしろこの年齢不詳!!」
「アイタッ!!まぁ酷い!!せっかく拭ってやったのに!!涙じゃなければその透明でしょっぱい液体は何!?」
「じゃかあしい!!汗だよ汗!!俺はちゃんとトレーニングしてるからなぁ!!」
「僕もだよ!」
「洞面!お前だけは……お前だけは真面目だって認めるよ。もう俺の友達お前しかいないかもしんね」
「ムキィー!私もキャラ立ちしたい!」
「十分してるだろ前髪くるりんちょ野郎!!」
「酷い言いぐさですね!でも年齢に触れられるよりはマシ!」
「本性ポロリしやがったな……ってか、源田はわかるがなんで鳴神と寺門がネオジャパンにスカウトされて俺にこねぇんだよ……」
「そうだよ!僕悔しい!!鳴神なんてデスゾーンのメンバー落とされたくせに!」
「まぁ、そう悲しまないでください洞面さん……あれは完全に瞳子監督の好みやチーム全体のルックスバランスだと思いますから。可愛すぎる洞面さんはきっと辺見さんと違って――」
「あァン!?辺見さんと違ってあんだとコラ!!」
「ヒィ!そんな青筋立てるとオデコのサヘル地帯がむぎゅ……」
「ちったあだまらねぇか?あァ??」
「むぎゅぎゅへんみさんのオデコのぎゅぎゅはんしゃがプレイにししょうをきたすからむぎゅぎゅぼうりょくはんたい……うぐっ!?」
ばこーんっ!!
気配を察知して辺見はとっさに身体を反らしたおかげで飛んできたボールは、掴みあげて
身動きの取れない五条の顔面にピンポイントヒットした。
「わりぃわりぃー!」
向こうから犯人の咲山が万丈と共に走ってやってくる。
辺見はボールを拾いあげると彼らにむかって投げてよこした。
「さんきゅ。辺見もサボってないでそろそろ練習戻ろうぜ」
「サボってたんじゃねぇよ休憩してたらコイツが無駄に茶々入れてきやがったんだよ。咲山、お前も真面目でよかった友達だ」
「は? 何いってんだ辺見。ハゲるぞ」
「もうハゲてるけど」
「おい!万丈まで何ぼそっと言っちゃってくれてんの!?」
お互いにド突き合いながら倒れる五条を残してコートに戻る。
そんな毎日も、ほんの一年前には考えられなかった日常である。