アイテム2

□家政婦フクさんの陰謀
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泣きっ面に蜂とはこのことか。鬼道は他人事のようにそんな事を思ってしまった。

「……」
「……」
「……き」
「何も言うな」

どこからか『やっちゃえ修也さん』という小さな声が確かに聴こえた。
しかし豪炎寺には聴こえなかったらしく。

「円堂、そっちに行ったと思うんだが」
「あ、ああ、いや、来ていない」
「っていうかお前」
「それ以上聞くな!」

まぁ、聞くなと言われても気にするなというのは無理な話だろう。

「そして部屋に入らないでくれ、頼む」
「頼む……って……一体ど」

刹那。

「うわっ!?」
「豪炎寺!?」

どっしーん。
豪炎寺が突然鬼道の身体を押し倒して部屋の敷居を超えてしまった!

「す、すまん、誰かに後ろから……」

その言葉に、鬼道は倒れて覆いかぶさっている豪炎寺ごしに、廊下の方に目を向けると。

「フ、クさんっ!?」
「え?フクさん?」

豪炎寺が振り返るが、豪炎寺の表情は変わることなく。

「誰もいないぞ」
「修也さんには見えないように暗示をかけて
ございます!それより男らしい修也さんの攻め、萌え!!」
「今のは貴方が押したからでしょう!大体どうやって――」
「透明マントでございます。額に稲妻の傷がある少年を買収してレンタルしましたでございます」
「ンなばかな!!」
「二次元は自由なのでございます!!」
「鬼道、誰としゃべってるんだ?」

怪訝な表情をした豪炎寺が鬼道の視界を埋める。
かと思ったら、

「――もっと俺を見ろよ」

ぐい、と両手を床に張り付けられて動けなくなり、鬼道はひぃ、と小さく悲鳴を上げた。
廊下の方からフクさんの黄色い悲鳴とカリカリとメモをとる音が聞こえる。

「――鬼道」
「お、落ちつけ豪炎寺……」
「俺は十分落ちついている」

おっしゃる通り。ずいぶん座ってる目ですもんね。
鬼道は近づいてくる豪炎寺の顔に、いやいやと首を横に振るが、

「フッ……可愛いな」

首筋に顔をうずめられ、熱いしたでぺろりと舐め上げられ、鬼道は自分でも信じられないような卑猥な声を上げた。

「っあっ……!やっ……あ……」
「いい声」
「ちょっ、豪炎寺っ、やっ、やめっ……はなしっ……やんっ」
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