Novel Box

□Second Life
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その声のする先に、視線をやった俺は、言葉を失った...

ヒロ『まぁ…元々、シンは放浪癖みたいなとこあったしなぁ…………

ヒロの会話は全く、俺の耳には入らない...

ヒロ『シン!何ぼぉ〜としてんねん!人の話聞いてんか?』

ヒロに頭叩かれ我に返った。

ヒロ『何ぼけっと見とれてんねん!あぁ=!シン…?まさか…あの娘に、一目惚れかぁ?』

冷やかし混じりの口調でそう言った。

シン『あほか!ちゃうわ!地元の知り合いに似てたから、まさか思うて見とったんじゃ!』

でも本当は一目惚れだった...

何故、素直に一目惚れしたと言えなかったのか...

それは...

関西に居た頃、暇さえあればヒロとナンパに明け暮れ、それなりに周りからもチヤホヤされていた。

そんな毎日が楽しく、特定の彼女を作ることもなく、自分に取って都合の良い不特定多数の女が何人も居た。

そんな「ただの遊び人」が、一目惚れしましたとなど口が避けても言えない...

ましてやコイツにだけは...

その上、俺は一目惚れは愚か、恋すらまともにした事が無かった...

でも、この言葉じゃ何とも言えない不思議な感覚は、バカな俺にでも一目惚れだとわかった...

その女店員は、聞き慣れない俺たちの関西弁のやり取りを見て微笑んで居た。

その笑顔が、また一段と可愛いさを増す...

だが、今まで感じたことの無いその純粋な感覚に、自分自身で寒気がした...


しばらく店内をウロウロした後、缶コーヒーを手に取りレジへと向かった。

その間ヒロは、俺の顔を見る度にニヤニヤしていやがった。

そしてレジに缶コーヒーを置いた俺は、ヒロが女店員に何か余計な事を、言ったりしないかヒヤヒヤした...

女店員『ご一緒でよろしいですか?』

笑顔でそう言った。

シン『あ…はい…』

照れる気持ちを殺し、無愛想に答えた。

何、俺はこんな意識してんねん...



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