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□可愛いから許す
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可愛いから許す






だからといって許せるものと、許せないモノがある。

【可愛いから許す】



「だから、すまないと言ってるだろッ!?」

「ごめんで済むと思ってるのか!?」

「思うッ!」

「やっぱり馬鹿だな、ゲーフェンは」

「なっ…!貴様ッ!!」

「良いね、表に出ろ」



チャキリ、と刃を見せた二つの鋼。

ギランと光る瞳の奥。

怒りに満ちている漆黒の瞳を見るとゾクリとする。
言っておくが、断じてMじゃない。私はSだから。
あ、聞いてない?



「はい、ストップッ!!」


二人の剣を跳ね上げる第三者もといパーシファル。
二人が切り合いを始めたら誰だって止められない。
なんせ英雄―――死神だから。
まぁゲーフェンバウアーは英雄ではないが。

槍を武器とするパーシファルは咄嗟に剣を用いて二人を止めた。
やっぱり槍が一番。
改めてそう思ったのは秘密にしておこう。


剣を中に撥ね飛ばされた二人はパーシファルを睨んだ。

「何をするッ!?」

「パース!ふざけるな!!」

「ふざけるも何も、なんで喧嘩しているんですか!?」


理由を聞かれ二人は二人同士で睨みだす。
理由がちゃんとあれば切り合いでも何でもすればいい。
だが、理由も無しに切り合い…怪我でもされたら、兵力が低下する。英雄ランクとなればその戦力は偉大だ。

「聞いて聞いてパース。ゲーフェンさぁ私のケーキ食べたんだよ?それも勝手に!?」

「なッ!貴様も俺のとっておいた菓子を食べただろうがッ!!」


「ハッ、下らない…」


「「切るぞ」」

「ヒッ!、……はぁ、早く仲直りして下さいよ…」

はぁぁと深く、深くため息をついてパーシファルは手をヒラヒラさせ、中庭を後にした。


「仲直り、だって。ゲーフェン?」

「……絶対嫌だッ!」

「ふぅん、せっかく許してあげようと思ったのにな」

「っ!」

アフレコするなら「本当ッ!?」があいそうなぐらいのキラキラした瞳でゲーフェンは私を貫いた。


「………でも」
「?」
「やっぱり、謝罪は聞きたいなぁ♪」

ガバッ

「ッ!!?な、放せッ!」

荷物のようにヒョイッと肩の上で漆黒を抱く。
ぎゃいぎゃい喚く死神は無視。さぁ寝室へGO。


涙目で言わせようか。



可愛くなきゃ、許さないよ?


まぁゲーフェンは元から可愛いけどね。

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08/12/24

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