〜pray〜

□〜第五章〜 人に隠し事をするのは、時と場合によっちゃ仕方ない。
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暇だからテレビでも見ようと真姫がテレビを付けると、そこには朝から花野アナがマイクを持って現地報道をしていた。


「昨日の夕方頃に、よしこちゃんの行方が分からなくなりました。」


そう言って映し出されたのは、朝早く人通りが全くない街の表通り。
若干霧がかかった道を、花野アナがカメラマンと一緒に移動する。


「よしこちゃんは、友達と公園で遊んでおり、その帰りに友達と別れてからぱったりと足取りが掴めていませんでした。ですがその後、聞き込み調査によりこの道で怪しい男と一緒にいたのを目撃されていた事がわかり、これで連続少女誘拐事件の可能性が強くなりました。」


画面の左下の方には、よしこちゃんと思われるあどけない顔立ちの女の子の写真が映っていて、その右上には「またもや連続少女誘拐事件!?攘夷浪士の犯行か!?」というテロップが出ている。


「今月に入り、あちこちで少女ばかりが行方不明になる事件が10件にも及び、幕府の今後の対応に注目が集まりそうです」

それではスタジオです、と中継がスタジオに返されたのを見ながら真姫は考えていた。

連続少女誘拐事件?

結構メジャーな話らしいが、真姫は聞き覚えがない事だった。
幕府の対応によって、まず最初に動くのは真選組のはず。
それなのに、何でその真選組隊士の自分が知らされていないのか。
聞き込みまでしてたというのに、気づけなかった自分にも非があるため、そんなキツく言えないのだが…。
キツく言えないとは思うが、納得がいかない不満を胸中に留める真姫は何故か一緒にくる不安を拭えない。


まだ早いのを承知の上で真姫が万事屋から出て行ったのは、それから余り時間はかからなかった。


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