≪銀魂≫

□新しい恋の発見
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「え〜だからな、糖分というのは人間にとって本当に必要不可欠なので〜」

「先生!マヨネーズも人間にとって」

「はい却下」

「ってまだ途中じゃねぇか!!」



銀魂高校3年Z組。

今は担任の坂田銀八の国語の授業中だ。

「んだ〜?多串くんてば先生よりもマヨネーズのが大事なわけ〜?」

「えっ、いや…俺別にそんなつもりで言ったんじゃ…」

「あぁ〜…先生傷付いちゃったな〜。…ちょっと多串くん、指導室来なさい」

「な!?なんで…」

「先生のこの傷付いたマイホー(ハート)を癒・や・し・て」

「///」

まだ授業中だというのにも関わらず顔を真っ赤に染めた土方の腰に手を回して教室から出て行く教師の筈の銀八。

「「「・・・・・・・」」」

まぁよくあることなので生徒たちは大して気にしてはいない。

「・・・ちっ」

だが沖田だけは舌打ちをして立ち上がり教室から出て行こうとしていた。

「お?なんだどうした総悟」

それに気付いた近藤がドアに向かって歩く沖田の背中に声をかける。

「胸糞悪ぃもん見せられたら腹が減りましてねィ。今から購買の焼きそばパン買い占めてやるんでさァ」

「まぢでか!?」

「行ってきやーす」

「おう、気を付けてなー」







購買に着いて早速焼きそばパンをあるだけ全部買おうとするが、まだ昼前で準備もしていないところに言われたおばちゃんはどうしたもんかと困った。

「おばちゃん、私にも焼きそばパン全部おくれヨ」

と更に今度は女の子の声で注文されてますますおばちゃんは困る。

「何言ってんでィチャイナ。焼きそばパンはもう全部俺のでさァ」

「うるせぇナ。独り占めなんて許さないアル」

「……おいババァ、やっぱ焼きそばパン要らねぇや。じゃあな糞チャイナ」

そう言って沖田は屋上へ向かう為、来た道とは逆方向へと足を出した。

「…男が嫉妬なんてカッコ悪いアル」

「…」

「もうニコチンコは銀ちゃんのものネ。お前じゃ銀ちゃんには勝てないアル。諦めるヨロシ。」

その言葉に沖田は嫌そうに眉間に皺を寄せながら立ち止まり振り返った。

「俺がいつ嫉妬したってんでさァ?」

「あんな嫉妬丸出しの顔しといて今更何を言うアルか」

「…」

「銀ちゃんみたいな糖尿寸前天然パーマネント好きになるような趣味悪い奴、お前には似合わないネ」

かけているピン底眼鏡の下の目は今にでも泣きそうな、それでも強い眼差しだった。

「何が言いたいんでェ」

「…私にするヨロシ」

「はっ、誰がてめぇみてぇな大食い怪力女…」

「その方がきっと幸せになれるヨ」

「…」

その言葉に少しだけ目を見開き神楽を見るが、その目は真っ直ぐ沖田を見ている。



いつも顔を合わせれば喧嘩。
どちらかが口を開けば喧嘩。

お互いの意見が合うことなど一度だってなくて、まともに交わしたことがあるのは拳と拳くらいだ。

そんな相手が自分を励まそうとしている。

いや、神楽にとっては決死の告白をしたのだ。



「…」

なかなか返事をしない沖田に神楽は目にいっぱい涙を溜めて下を向いてしまった。

沖田は今出来る限りに優しい声音で話し出す。

「…まぁ考えとくから、後で焼きそばパン寄越しなせェよ」

「!」

バッと勢いよく上げた顔の先には、いつも自分には向けられることのない優しい沖田の笑顔があった。


「しょ、しょうがないネ、一口くらいなら分けてやるアル」

「へ、ケチケチ言うなィ」



たまにはこういう始まりも、いいのかもしれない。












end
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