飛べない翼

□土影
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デイダラ「……だぁぁぁぁっ!やってられるか!」

書類とにらめっこして数時間

耐えきれなくなり書類の山をバラバラにちらす

窓の外からはちらちらと監視係がこちらをのぞいていて、「ちっ、」と舌を鳴らしてから溜息をついた











デイダラ「…はいれ」


声をかけてから、キィ、、と遠慮がちにドアが開く






デイダラ「おぅ、ひとみじゃねーか。仕事上手くやってんのか?うん」

ひとみ「うん、、まぁ…」


思えば初めて入る土影部屋に、ひとみがあたりを見回す



デイダラ「…んだよ?」

ひとみ「…んーん、、ほんとに土影になったんだなーって、、」

デイダラ「はぁ?今更何言ってんだ」

ひとみ「だって就任の報告聞いてからデイダラの姿見てなかったし」

デイダラ「就任してからずっとこもりっぱなしだからな。じじいの監視がしつこいしよ。うん。」

ひとみ「…デイダラ書類仕事とかできるの…?」

デイダラ「お前馬鹿にしてんのか…?






デイダラ「…で、今日はどうしたんだ?からかいに来ただけならとっとと帰れよ?うん」

「オイラは忙しいんだからよ」とひとみをあしらうデイダラに、ひとみがムスッとする


ひとみ「…せっかく差し入れ持ってきたのに…」

デイダラ「差し入れ?…ひとみのわりに気がきくじゃねーか







ひとみが団子を並べてお茶を入れると、デイダラが土影のマントを脱ぎ、伸びをする

久しぶりのデイダラの普通の姿に、ひとみはじっと見つめてしまった



デイダラ「…なんだよ…?じろじろ見て」

ひとみ「…普通のデイダラ久しぶりに見たから」

デイダラ「なんだそりゃ、笑 …








ひとみ「デイダラ…!!!!」

デイダラ「な…、なんだよ大声出して、うん?」

ひとみ「わ、わたし……で、デイダラ…に…い…言いたいことが…」

デイダラ「……お、おぅ…」

ひとみ「…ずっと…言おうと思ってたんだけど…」


心臓がばくばく止まらない

その音はデイダラにも聞こえるんじゃないかと思うほど大きくなっていた








ひとみ「お………お…」

デイダラ「………」

ひとみ「………お、…お寿司食べたい!!!!!」

デイダラ「……はぁ???」



自分から出た言葉に、自分でも「はぁ???」と思い、上手く伝えられない自分に涙がでてくる

ただ、「おめでとう」と言いたいだけなのに…

だが次の瞬間、ひとみの言葉に目をぱちくりさせていたデイダラが「ぷっ」と吹き出して笑い出す



ひとみ「な、なにっ!?」

デイダラ「いや笑 おまえ、そんな溜めに溜めて言うことか?笑」

ひとみ「ぅ…だ、だって…」

デイダラ「寿司屋くらい行きたきゃ行けばいいだろ、うん」

ひとみ「…ぅん…」

デイダラ「いくらお前が余所者だからって、寿司屋行くのにわざわざ土影の許可取りに来る必要ねーよ笑」

ひとみ「………ぅん…」



「余所者」という言葉に少しグサッときてからひとみが落ち込むと、









デイダラ「…仕方ねーな」

ひとみ「……???」

デイダラ「食いに行くか?寿司」

ひとみ「へ…??」

デイダラ「…なんだよ、食いたいんじゃねーのかよ?うん」





























初めて来た岩隠れの里の港の居酒屋


店に入るや否や、カウンターの板前が「おぅデイダラ!!久しぶりじゃねーか!!」と声をかける

その挨拶だけで、デイダラがよくこの店に来ているのだとわかる



「すっかり土影が板についたようだな笑」

デイダラ「ち、うるせぇよ…」


板前に少し小馬鹿にされてふて腐れるデイダラをみて、ひとみが少し笑う

カウンター席に通されて、アルバイトの若い女から温かいおしぼりを受け取った



「つ、土影さまっ…お勤めご苦労様です///」

デイダラ「…お…おぅ…」


顔を赤くした女性が、緊張しながらデイダラにおしぼりをわたすと、「失礼しますっ」と奥へ逃げていった


「あいつ、お前のファンなんだってよ笑」

デイダラ「へぇ笑 中々可愛いじゃねーか、うん。」

「 






「それより、彼女さんかい?」

板前がひとみをみてそうニヤつくので、ひとみがびくっと反応した


デイダラ「そんなわけねーだろ、、部下だよ、部下」

「なんだ、土影になってようやく恋人でも連れてきたと思ったのによ笑」

デイダラ「余計なお世話だくそじじい…」

「そういや、クロツチちゃんは元気か?昔よく連れてきてただろ」

デイダラ「あぁ、あいつも相変わらず口うるさいな、うん」







ひとみがぼーと俯いて、デイダラが「おい」と呼んでも反応しないので、くいっと肘でつっつくと、ようやくピクッと反応する


ひとみ「っ!?」

デイダラ「…なんだよ、やけに静かじゃねーか。うん」

ひとみ「…初めてきたし、緊張して」

デイダラ「居酒屋に緊張なんかしてどうすんだよ…」

ひとみ「ぅぅ…」

デイダラ「…いいから、食ってみろって、オラ」


デイダラが手始めにでてきた寿司の盛り合わせをひとみに差し出す

「いただきます…」と手を合わせて、それを口にした



ひとみ「っん〜〜っ!!!」

デイダラ「美味いだろ?」

ひとみ「うんっ!うんっ!」

大きく頷くひとみに、デイダラがニカっと笑う

その笑顔をみて、ひとみもようやくせっかくの時間を楽しもうと、笑顔を作った




デイダラ「そういや、最近身体の調子はどうなんだ?うん」

ひとみ「ぅん、もうなんともないみたい!
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