飛べない翼

□医療忍者2
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綺麗な金髪がさらさらとなびく

傘をかぶっていても一瞬で誰かわかり、その後ろ姿をみつけて思わず小走りで近寄る


ひとみ「デイダラっ…!!」

デイダラ「??…!」


ひとみの声にデイダラが振り返り、2年ぶりに2人の視線が交わった



ひとみ「……デイダラ…」

デイダラ「ひとみか……久しぶりだな、うん」

ひとみ「……っ、、デイダラ」


ずっと会いたかった

その想いが爆発しそうで、目に涙がたまる

一歩ずつデイダラに近づく


ひとみ「……やっと、」

「土影様、そろそろお時間です…」


「やっと会えた」そう口にしようとしたが、案内役の声がそれをさえぎる

時間的におそらく遅刻をしてきたのか、クロツチも「にぃ、いくぞ」と催促する


デイダラ「チッ、わぁったよ、、…じゃあ…またな、ひとみ」

ひとみ「………ぅん……」


クロツチたちと並んで歩き出すデイダラの後ろ姿を呆然と眺めた


夜には会食会場で会えるだろうし、今は仕方ないか…
そう自分に言い聞かせてその場を後にした



















夜の会食は木の葉の里の高級料亭を貸切で行われた

ひとみもイノやほかのくのいちたちと共に接待要員として呼ばれており、ようやくまたデイダラと会えると、少し緊張しながら会場に向かう







カカシ「じゃあ、イノはライ影様たちの接待についてくれ」

イノ「はい!」

カカシ「きみたちは、土影様ご一行の席について」

「はーい!!」

ひとみ「ぇ」

カカシ「で、ひとみはこっちネ」

ひとみ「な、なんでですか!!」

カカシ「んー?なにが」

ひとみ「……わたしも影様たちの接待につきたいです!」

カカシ「ダーメ」

ひとみ「なんで!」

カカシ「絶対にやらかすから」

ひとみ「う…」

カカシ「保証できないでしょ?」

ひとみ「ぜ、絶対やらかしません!上手に接待します」

カカシ「……前木の葉の役人の接待したときどうだったっけ?」

ひとみ「あの時は…ちょっと手が滑って、、」

カカシ「なら今回も滑るでしょ。いいから早く席について」

ひとみ「なら何で呼んだんですか!」

カカシ「ひとみがやらせろって言ったんでしょーが、、、」

ひとみ「ここで影様たちの接待をしなければ、私はこのまま成長できません!」

カカシ「影様たちじゃなくて、デイダラの接待がしたいだけでしょ…、、」

ひとみ「な、!ち、ちがいます!」

カカシ「じゃあ今回は諦めてこっち座って」

ひとみ「くーー、、、はーい、、、」



カカシなら予め言っておけば気を利かせて土影ご一行の席につかせてくれると思ったのに、甘かったか、、、と反省しながらカカシや綱手たちの席につく

デイダラの接待をしている子たちがうらやましい、、、


少しして、影たちが会場に入ってきて案内されるままそれぞれの席に着く

デイダラに目線を向けるものの、目が合う感じはなく、横から若いくのいちが「お飲み物どうされますか?」と甘い声で聞いてる

その席が気になって気になってひたすら見てしまうが、綱手に叱られて自分の仕事に集中した


























ひとみ「……はぁ、、、」

トイレで自分の顔をのぞいて髪を整える

冴えない顔

久しぶりにデイダラと再開したら、土影として仕事で来たとはいえ、ちょっとした時間にでももっと楽しい時間が過ごせると思っていた

デイダラもきっと、自分のことを気にしてくれてる
そう思っていた

なかなか思い通りにいっていない現実に、ため息しかでなくなっていた




ひとみ「……???」

デイダラ「…??おぅ」

ちょうど会場からでてきたデイダラと鉢合わせる

ひとみ「ぁ…ご苦労様です」

デイダラ「…んだよそれ、、」

ひとみ「え、だって一応土影様だし…」

デイダラ「一応ってなんだ一応って!」

ひとみ「…ごめんなさい、、」

デイダラ「………なんだ、せっかくご馳走だってのに元気ないじゃねーかよ、うん」

ひとみ「……へ??…あんまり食欲なくて、、」

デイダラ「お前が…??体調でも悪いのか」

ひとみ「ちがうけど…。デイダラは楽しそうだね」

デイダラ「あ?楽しかねーよ…。まぁだが、木の葉のくのいちってのは、芸術センスに理解のあるやつが多いんだな、うん」

「見ろよ、このストラップ」と先程くのいちたちからプレゼントされた、デイダラのアートを催したストラップを見せつける

ひとみ「…ふーん、、、」

デイダラ「……なんだよ、うん?」

ひとみ「……わたしだって、、」

デイダラ「…あ??」

ひとみ「……わたしだって…デイダラにプレゼント、作ってきたのに…」

デイダラ「………」


ぼそぼそとひとみがそういうと、デイダラが少し驚いた顔をした


デイダラ「…し、仕方ねーな、もらってやるよ、うん」

ひとみ「……仕方ないなら良いよ」

デイダラ「いいから






ひとみがポシェットから丸い玉を取り出し、デイダラに渡す


デイダラ「……なんだこれ?」

ひとみ「……花火」

デイダラ「花火?お前が作ったのか」

ひとみ「ぅん、でも上手くいくかどうか、…わ!!」


ひとみが後ろを通った人物にぶつかりよろめくと、デイダラがそれを支えた

その反動でデイダラが持っていた玉が下に落下し、コロコロ転がる


ひとみ「あ…」

デイダラ「…あ?」


そしてパチパチバチッと玉が発泡しはじめ、あたり一面にパンパンっと暴れるように飛び散りまわった

数秒間その玉が発砲し、会場はしーんとする


デイダラ「…て、てめぇオイラを殺す気か!?」

ひとみ「練習の時はうまくいったのに…!」


そしてこの発砲騒動に、ほとんどの人物が犯人はデイダラだと確信しこちらをみる

「土影…」

「デイダラ兄…」

デイダラ「お、オイラじゃねぇぞ!!?こいつが…」

綱手「問答無用っ!!」

デイダラ「うぉっ…!?」


めちゃくちゃになった会場に綱手がブチギレ、デイダラを追いかけ回る事態になったが、火影であるカカシは実の犯人がひとみであることに勘付き、事態は収束した










ひとみ「すみませんでした……」


火影部屋で1時間以上綱手やカカシから説教され、ずーーん、、と落ち込んだひとみがやっと部屋から出てきた

ただデイダラを喜ばせたかっただけなのにこんな大事態になってしまって
情けないし恥ずかしい
説教に向かう途中に、デイダラに好意があるくのいちたちがくすくすしていたのを思い出して更にしんどくなった

帰るか…

と廊下を進むと、デイダラが壁に寄り掛かって待っていた


ひとみ「…デイダラ……」

デイダラ「ようやく出てきたか。随分かかったな、うん」

ひとみ「……待っててくれたの?」

デイダラ「待ってたというか、お前のせいでひどい目みたからなこっちは、うん」

ひとみ「………ごめん…」

デイダラ「しかし、あいかわらずどんくさいなお前は…」









ひとみが我慢できず、目に涙を浮かべる


デイダラ「な、…なに泣いてんだよ」

ひとみ「……私は、…デイダラとずっと会いたかったのに、会えてすっごく嬉しかったのに…」

デイダラ「………」

ひとみ「……もういいよ」

「じゃあね」とデイダラの横を通り過ぎるひとみだったが、デイダラがガシッと腕を掴む


デイダラ「そんなん、…オイラだってな」

ひとみ「デイダラの馬鹿」

デイダラ「はぁ??…!」

ボンっとデイダラが腕を掴んだはずのひとみが姿を消した
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